負担と利益の分配を考えよう。

前回も同様の書き出しでした。

安くて、早くて、お腹いっぱい食べられる。我々大学生にとってファストフードはとても身近で、若者なら一度は食べたことがあるものではないでしょうか。前回はこの書き出しで、中国の食肉加工工場からマクドナルドやファミリーマートに期限切れの鶏肉が卸されていたいた問題から、我々の一人ひとりが食の問題にどのように意識を向けていくかを論じていきました。今回は「安全」ではなく、裏側にある「経営」について考えてみようと思います。量も十分、味についてもそれなりのものが、すぐに出てくる。それがあんなに安い値段で食べられる、ちょっと不思議に思いませんか。

6日牛丼チェーン「すき家」を経営するゼンショーホールディングスは、深夜営業を1人で賄う「ワンオペ」(one operation)を9月末にやめ、2人以上の体制に変えていくことを決めました。また、それに伴う人件費の高騰や牛肉の仕入れ価格の高騰を受け、牛丼並盛りの価格も21円値上げし、「291円」になると発表しました。お気づきの方も多いかとは思いますが、価格の安さの理由は人件費を低く抑えているということです。飲食業界に限らず、企業が収益を維持、向上させるために、人件費の削減が行われるということは、現在では一般的ですよね。すき家の場合、それが深夜での1人体制という形で表に現れてきたのではないでしょうか。

しかし、ご存知の方も多いかとは思いますが、ワンオペのような過酷な労働体制や業務に対して低く抑えられた時給などにより、アルバイトスタッフが多数離職し、東京23区を中心に多くの店舗が一時的または長期にわたる閉鎖を行っていたことから、ゼンショーは3月期の業績予想も41億円の黒字から13億円の赤字に転落しました。ゼンショーは従業員に無理を押し付ける形で利益を上げていたとも考えることができ、そういう意味では、非常に「不安定」な経営出会ったのかもしれません。

食べるだけの我々にとって、最低限注文通りのものを提供してくれれば、その会社の状況なんて考えもしませんよね。ですが、その安さの裏側で、誰かがその負担を負っていると考えると、どうでしょうか。筆者は自分が安く食事を済ませることで利益を得るだけでなく、そこで働く人の利益を考えなくてはいけないのかなとも考えています。大規模な閉鎖は、消費者、企業、労働者の三角形の中で、労働者に負担が重くのしかかり、利益は少ないという状態であったからではないでしょうか。このバランスの維持の必要性、今回の値上げは、ゼンショーがそれに気づき、行動した第一歩とも呼べるのではないでしょうか。

参考記事:7日付朝日新聞(東京14版)37面(社会面) 「すき家 一人夜勤解消へ」より

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