全部でいくら?制服の値段に大きな差

 制服の値段について、思い出した出来事があります。中学に入る前、制服と指定品の販売会がありました。手提げ方とリュック型という、二種類のカバンが用意されていて、どちらも結構な値段がします。百貨店から来た受付係が「皆さん両方買っていかれますよ」と話し、後ろも詰まっていたので、どちらも買って帰りました。ところが、いざ学校が始まると、リュック型を使っている生徒はほとんどいませんでした。「入学前に知っていたら買わなかったのにね」と、家族の笑い話になっています。ところが今朝の記事を読んで、全国的な問題なのだと知りました。

 朝日新聞が公立中学校11校の制服の購入価格を調べたところ、3万円台から7万円台まで、同じ公立中でも最大2倍を超す価格差があることが分かりました。最も高かったのは、仙台市の女子ブレザー服で7万3640円(冬服と夏服、シャツ4着の合計)。その他指定品をそろえると、総購入費が10万円を超す学校も2校あったようです。メーカーや販売店が限られ、地域内で価格競争が起きにくいことが背景にあると、記事では指摘されています。

 「高い」と言い出しにくい雰囲気があります。制服は揃えることが前提のため、生徒側にとっては「安い制服を選ぶ」ということができません。「高いと思うのは自分の生活レベルのせいと思っていた」と語る、仙台市に住む女性の気持ちは、制服をめぐる空気を代弁していると思います。「何を買えばいいか、人に聞く」、「中古サイトを探して買う」。節約策は確かにありますが、入学前の親子に求めるには少し酷です。

 何より、記者が制服の価格に注目した理由に、心が痛みます。

公立中学校の制服価格を調べるきっかけは、14年秋、生活苦で精神的に追い込まれた母親が一人娘を殺害した事件でした。この母親は、娘の中学の制服代として闇金融から7万5千円を借りていました。

生活費を切り詰めているような家庭にとって、制服代はとても重い。ただでさえ高い買い物なので、親切に教えてほしい。「そういうものだから」では済まされない現状です。

参考記事:
2016年8月20日付 朝日新聞朝刊13版 1面『公立中制服 地域で価格差』
2016年8月20日付 朝日新聞朝刊13版 2面『制服の値段の謎』

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