想像してみてください。スーパーなどで買った冷凍食品が、廃棄されるはずだったもので、しかも今からそれを食べようとしているのを。「まさか私の食べ物が…」。その不衛生さに誰でも気味が悪い思いに苛まれるはずです。
事の発端は、産業廃棄物処理会社「ダイコー」が、カレーチェーン「Coco壱番屋」から廃棄を委託された冷凍カツなどを処理せず、製麺業「みのりフーズ」に不正転売した事件です。「マニフェスト」と呼ばれる細かい処理方法まで記入する報告書には、嘘の内容が記されていました。環境省の幹部によれば「偽造されると、気付くのが困難」とのことです。
更に驚くべきことに、この不正は2012年ごろから警察や行政の目をかいくぐって続いていたそうで、まさに優良企業というお墨付きを悪用し、我々消費者の信用を裏切る卑劣な行為であると強く感じます。インターネットで調べたところ、この会社はかなりの経営難に陥っているということもあって不正に手を染めたそうです。
今回の件で少なくとも公文書偽造と食品衛生法違反に問われるでしょう。もし仮に倒産を免れたとしても、消費者の信用を取り戻すには長い時間と労力が必要になると思います。
記事のなかで、流通経済研究所の石川友博氏は話しています。「ごみを出した企業が最終的に全品どう処理されたか、チェックするのは非現実的だ。今後は処理状況を客観的に証明する方法や不正行為の厳罰化も検討されるだろう」。確かに、私たち一人にとってきわめて重要な食の衛生管理をしっかりさせるためにも、厳罰化や行政による定期的な検査を徹底することが急務です。
2月2日付 朝刊 読売新聞 14版 総合 3面 「廃棄食品の転売 対策手探り」