歩み寄り、世界を知ろう 自分から

「Kokoは、イスラム教徒についてどんなイメージを持っている?やっぱり、過激派という印象が強い?」筆者は去年の9月から今年1月までトルコに留学していました。そこで、友人から聞かれました。「そんなことないよ。過激派は、宗教を理由に自分たちの行動を正当化しているだけ。ムスリムの人は困っている人を見つけたらほっとけない、優しい人が多いと思う」。私は彼にそう答えました。彼は、「イスラム教徒=過激派」と思われているのではないかと案じているようでした。トルコでは国民の9割以上がイスラム教を信仰しています。今朝の朝日新聞の特集記事を読み、ふとこの会話を思い出しました。

記事には、東海大准教授アルモーメン・アブドーラさんのインタビューが載っています。アルモーメンさんは、2001年の同時多発テロや約190人が犠牲となったマドリード列車爆破テロが起きた際に、知人や同僚から「弁解」を求められたそうです。彼は19年前にエジプトから来日し、日本語を学びました。文化の違いから多くの壁を越え、今では自身の体験を活かして書籍を執筆したり、日本語を教えたりしているそうです。「知ろうとする意思さえあれば、必ず分かり合える」と、アルモーメンさんは語っています。

突然ですが読者の皆さんは、イスラム教についてどんな印象を持っていますか?今年1月末に邦人人質事件が起き、愛知県のモスク(イスラム礼拝所)には嫌がらせの電話が相次いでかけられました。そんなニュースを聞くたびに「本当は良い人もたくさんいるのに」と、心が痛みました。

私は、留学へ行く前に少しでもイスラム教のことを知りたくて「神戸モスク」へ足を運びました。イマーム(イスラム教の僧侶)の男性はとても親切にモスク内を案内してくれました。しかし、その方も「イスラム教について知っている人が少ない」と嘆いていました。異文化理解は難しいようで、実は身近にできるのではないかと思います。「モスクにふらっと立ち寄ってイスラム教徒と話をすれば、彼らがごく普通の人と分かる」と、アルモーメンさんは語ります。

遠い国の宗教でも、自分から歩み寄れば距離はぐっと縮まる。受け入れるためには、まず理解から。宗教に限らず「異文化を知ろう」とすることが大切なのではないでしょうか。

参考記事:3日付 朝日新聞(13版)大阪朝刊 27面 特集記事「明日も喋ろう “異”見をつなぐ」

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