日中韓米 若者雇用の現状を比べてみると

先日、中国から留学してきている友人と将来について語りあいました。その際、友人が「今は本当に就職が厳しい」とこぼしていたのが印象に残っています。調べてみると、中国、韓国、アメリカでは高等教育を受けた若者が職を得られない問題があることを知りました。日本では、事あるごとに「売り手市場」という言い回しを耳にしますが、筆者は他国の状況について詳しくは知りませんでした。

そこで、最近の日中韓米の雇用を巡る問題について、その現状を調べてみました。

 

中国 安定を求める若者と変わる経済

2026年4月時点で、中国では16〜24歳の若者の失業率が16%を超え、社会全体の失業率(約5%)の3倍ほどに達しています。この背景にあるのは、ここ20年ほどで急速に進んだとされる高学歴化だといいます。大学に進む人が増えた分、卒業生の多くは国有企業や公務員といった安定が確保できるとされる仕事を目指します。しかし、実際に人を求めているのは民間企業が中心で、希望と現実の間にギャップが生まれてしまっているといえます。

さらに、建設や不動産業の不況や、飲食分野で節約志向が高まっていることなどを受けて、これまで若者を受け入れてきた業界が勢いを失いつつあるのです。

厳しい競争に疲れ、就職や結婚そのものを諦める「寝そべり族(躺平)」と呼ばれる若者が増えていることが少し前から取り沙汰されていることからも伺えるように、この状態が続けば20代後半になっても安定した職に就けない、日本で過去に起こった「氷河期」が来るのではないかと懸念されています。

 

韓国 会社格差から生まれるミスマッチ

韓国も大学進学率が73.6%(24年)と非常に高い国です。ただ、韓国の場合は仕事が足りないというより、選ばれる仕事が限られていると言った方が正確かもしれません。大企業と中小企業の間で給料や待遇の差があまりに大きいため、多くの若者が卒業後も大企業への就職を目指して就職活動を続ける「就職浪人」が少なくない状況が続いています。24年の4年制大学卒業者の就業率は62.8%にとどまったといいます。

その一方で、中小企業は慢性的な人手不足に悩むという、ちぐはぐな状況が生まれています。最近は企業が即戦力となる経験者を好む傾向も強まり、新卒の入り口はさらに狭くなっているようです。

 

アメリカ 学費と学位が見合わない

アメリカでも、長年信じられてきた「大学に行けば良い仕事に就ける」という考え方が揺らいでいるといいます。22〜27歳の大卒者の失業率は26年6月時点で5.7%と、労働者全体の4.1%を上回っています。大卒者を多く受け入れてきた情報サービスや金融などの分野で採用が抑えられていることに加え、AIの普及によって経験の浅い新卒向けの求人が減っているとの見方もあります。100件以上応募しても良い返事がもらえない学生もいるそうです。

さらに重くのしかかるのが学費です。学士号取得者の約半数が学生ローンを抱えたまま卒業します。このため、仕事が見つからなくても返済は始まってしまいます。大学を出た後に理容師など別の道へ「転身」する若者も出てきているといいます。

 

日本の現在と大学で学ぶ意味

そんな中、現在のところ日本の大学生の就職率は高い水準が続いています。少子化による人手不足に加え、経験のない学生をまとめて採用し、入社後に育てる新卒一括採用の仕組みが、若者と仕事を結びつけてきたと考えられます。韓国の研究者は、職業に直結する教育を行う日本の専門学校にも注目しているそうです。ただ、これを手放しで喜んでいいのでしょうか。日本の売り手市場は、裏を返せば働き手が減っているという、別の危機の表れともいえるからです。

調べてみて感じたのは、3カ国が抱える問題は、その根本が似ているということです。大学に進むことが当たり前になった一方で、若者が「良い」と思える仕事に就けるケースはそれほど増えていません。そこにAIによる仕事の置き換えも重なり、学歴だけでは仕事に結びつきにくい時代になりつつあります。

この流れは、日本にとっても他人事ではないと思います。人手不足が続く今は気づきにくくても、AIの影響で新卒向けの仕事が減れば、同じ壁にぶつかる可能性は十分にあります。そうなったとき、大学で何を学び、何ができるようになったのかが、今以上に問われるはずです。中国から来ている友人の「厳しい」という一言は、決して遠い国の話ではなく、自分たちの近い未来のことでもあるのだと感じます。

一人の大学生として、筆者も自分が大学で何を身につけているのか、改めて考えさせられました。

 

参考資料

26年11月1日付 朝日新聞 7面 ハウマッチ「求人ミスマッチ 揺らぐ大卒成功物語」

大和総研, 2026.5.21, 齋藤尚登, 中国版「就職氷河期」への懸念

Yahoo!JAPANファイナンス, 10.13, 金 明中, 【経済統計】就職難と人手不足が併存する韓国の若年層雇用事情