滋賀県大津市にある「びわ湖バレイ」は、琵琶湖を一望できる絶景スポットとして知られています。2026年9月には、新施設「Sky Bridge(スカイブリッジ)」がグランドオープンし、山頂エリアの新たな見どころとして注目を集めています。筆者が訪れた際には多くの外国人観光客や家族連れ、登山客の姿も見られました。
スカイブリッジ
(2026年10月11日筆者撮影)
スカイブリッジから見える景色
(2026年10月11日筆者撮影)
びわ湖バレイの代表的なスポットが「びわ湖テラス」です。ロープウェイで山頂へ向かうと、眼下に琵琶湖と周囲の山々が広がります。ウッドデッキやカフェでは、眺望を満喫しながらゆったりと過ごすことができます。
さらに、山頂エリアではリフトに乗って移動する楽しみもあります。緑に覆われた山肌や季節ごとに変わる木々の色、広大な琵琶湖、開放的な空の景色が広がります。リフトに揺られながら景色を楽しむ時間は、非日常的なものであり胸が高鳴りました。
蓬莱山山頂に向かうホーライリフト
(2026年10月11日筆者撮影)
蓬莱山山頂
(2026年10月11日筆者撮影)
さまざまなアクティビティがある中、今回筆者はジップラインとスカイウォーカーを体験しました。ジップラインは、専用の装備を着けてワイヤーを滑り、空中を移動します。
ジップライン
(2026年10月11日筆者撮影)
普段の生活では味わえない高さやスピードを体感できます。実際に体験してみると、滑走する瞬間だけでなく、それまでにも楽しさがあることに気付きます。順番を待つ人同士で緊張を分かち合う時間が生まれるのです。初対面でも同じ体験に挑むという共通点があれば、会話も生まれやすくなります。
スカイウォーカーは上級コースでは地上6メートルの高さの木の上で多彩なアイテムをクリアして進むアトラクションです。
スカイウォーカー
(2026年10月11日筆者撮影)
高い場所に設けられたコースでバランスを取りながら障害物を越えていくなか、前後の人同士で動きのコツを教え合う時間が生まれました。自分が難しいと感じた場所を後ろの人に伝えたり、前の人の動きを参考にしたりすることで、自然と笑顔が生まれます。
どちらのアクティビティも子どもだけでなく、大人も夢中になれます。家族や友人との思い出になるだけでなく、その場で出会った人とも緊張や達成感を共有できることが最大の魅力です。
びわ湖バレイは、冬季のスキーやスノーボードを楽しむ場所として知られてきました。しかし、スキー場は積雪や気温などの気象条件に左右されます。冬季以外にも人を呼び込めるかどうかは、安定した運営に欠かせません。
転機の一つとなったのが、2016年に誕生した「びわ湖テラス」です。琵琶湖を一望できる地の利を生かし、スキーをしない人も訪れる環境を整えました。カフェや展望空間を整備することで、春から秋にかけても楽しめる観光施設として知名度を高めてきました。
そして今年9月14日には、全長220メートルの吊り橋「Sky Bridge」が開通しました。びわ湖テラスの開業10周年という節目に、新たな体験型スポットが加わった形です。景色を座って眺めるだけでなく、橋を歩きながら楽しむという選択肢が増えました。リフトやアクティビティと合わせ、山の自然をさまざまな角度から体験できるようになっています。
春から秋には緑や紅葉、山歩き、アクティビティを楽しみ、冬には雪山のレジャーを楽しむ。季節ごとに異なる魅力を伝えることが、通年型リゾートとしての価値を高めています。
滋賀県には琵琶湖や比良山系の自然、彦根城や近江八幡の歴史的な町並み、寺社や伝統工芸など、多彩な観光資源があります。一方で、京都や大阪といった近隣の観光都市と比べたとき、旅行先としての知名度を高め、県内での滞在や消費につなげることが課題とされてきました。さらに、昨年の国勢調査の速報では、滋賀県の人口は139万2439人と、前回から減少したと報じられています。県人口が減少に転じるのは65年ぶりとされています。観光だけで解決できる問題ではないかもしれませんが、県外から人を呼び込み、地元の飲食店や宿泊施設、交通機関などを利用してもらうことは、地域経済を支える手段の一つとなります。
滋賀県では今年10月から12月まで、JRグループ6社などと連携した「滋賀デスティネーションキャンペーン」のプレキャンペーンが実施されています。県内の多彩な観光コンテンツを紹介し、全国からの誘客を目指す取り組みです。また、琵琶湖を自転車で一周する「ビワイチ」も、滋賀を代表する観光コンテンツとして発信されています。
こうした施策に共通するのは、一つの観光スポットだけで旅行を完結させず、県内のさまざまな地域を巡ってもらおうという考え方です。びわ湖バレイを訪れた人が、湖岸の観光地や歴史的な町並み、地域の飲食店にも足を延ばせば、観光による経済効果は周辺地域へ広げられます。
多様な来訪者が集まるびわ湖バレイは、滋賀の魅力を知ってもらう入口にもなり得ます。今後は施設単独の集客にとどまらず、県内のほかの観光地や地域の食、文化と結び付けることが重要になるでしょう。滋賀県が観光を通じて地域の未来を考えるなかで、こうした人の記憶に残る体験を地域全体の魅力へとどうつなげていくのか。びわ湖バレイの今後の展開は、その可能性を考えるうえでも注目です。
参考紙面
2026年7月29日付 読売新聞 「県内観光地巡りを促進 大津市バス実証 プリンスホテルから送迎=滋賀」
2026年9月3日付 朝日新聞 「青空てくてく スカイブリッジで天空散歩 琵琶湖 【大阪】」
参考サイト
びわ湖バレイ公式ホームページ https://www.biwako-valley.com/green/
滋賀県 https://www.pref.shiga.lg.jp/cv00/press-release/33718.html





