砂漠ツアーにラクダ、バギー アフリカ紀行【後編】

前回は砂漠と肥沃な土地との境界を紐解きました。最終回では、砂漠ツアーの様子をお伝えします。

砂漠へ向かう途中、化石の採掘場のそばを通りました。サハラ砂漠の一部は昔、浅い海や湖であったため、今では化石を含んだ地層が広がっています。世界的にも有名な化石の宝庫だそうです。今や水どころか草木すら乏しい土地になっていることを思えば、信じられません。

フランス語でFossiles(化石)との表記が

車で走ること4時間。いよいよ砂漠が姿を表しました。緑地と砂漠の対比が目を引きます。


突如、砂漠が現れ始める

メルズーガ砂漠

メルズーガ砂漠の入り口までは車で向かいましたが、ここからはラクダの背で移動するため、1泊2日分の小さな荷物を作る時間が与えられます。大きなスーツケースはバンに残していきます。

砂漠ではスカーフが必須アイテムです。強い風で飛んでくる砂から頭や鼻、口を守るためだけでなく、強烈な日差しや激しい寒暖差対策にもなります。

風によって1日も経てば足跡は消え、周囲は生物の気配すらない空間です。目印になるものが何もなく、景色を見渡しただけでは自分がどこにいるのか見当もつきません。こうした空間が延々と続いていると考えると、砂漠の過酷さが分かります。6月には、ニジェールのサハラ砂漠で旅行者を乗せたトラックが故障し、飲み水が尽きて49人が死亡するという痛ましい事例も起きています。

サンドバギーも体験しました。ツアー費用に含まれていないものの、ここまで来たら挑戦しないわけにはいきません。YAMAHA製のバギーで日本語表示もあり親近感を抱きました。窪地に入り込んでしまい、なかなか抜け出せなくなったことも。人工物のない砂漠で、タイヤの跡を見ると、宇宙探査をしているかのようでした。

サンドバギー

(メルズーガ砂漠にて2025年3月筆者撮影)

続いてラクダに乗ります。体が低い状態からスタートするため、またがること自体は簡単です。とはいえ、馬よりもはるかに大きく、立ち上がると高さ2〜3メートルにもなるラクダに乗るには勇気が必要です。前触れもなく突然立ち上がるラクダもおり、恐怖から思わず手を離してしまう人もいるそうで、乗り降りの際には「HOLD ON!! Hold on!!(しっかりつかまって!!)」と声があがります。

ラクダに揺られる道中では、後ろのイタリア人大学生と話が弾み、「イタリアに来たら、このピザ屋が美味しいよ」とおすすめの店を教えてもらいました。そのままラクダに乗りながら日の入りを迎えました。夕食後、ラクダの皮を張った「トバイラ」という伝統的な太鼓の音色に合わせてみんなで踊りました。

夜間の星空は圧巻です。日本とは異なり、周囲に街の光がほとんどないため、肉眼で小さな星まで見ることができます。

満点の星空

(メルズーガ砂漠にて2025年3月筆者撮影)

筆者が訪れたのはラマダン(断食月)の期間中で、日中に食事を摂ることが許されていたのは観光客だけでした。そもそも、ラマダンはいつ始まり、いつ終わるのでしょうか。実は直前まで正確な日程は確定せず、専門家が新月を観察したうえで、永代財産・イスラム宗教省が決定し、テレビやラジオを通じて発表されるそうです。

滞在中、ドライバーの方が「ラマダンは明日で終わることになったんだよ」と教えてくれました。また、この期間中は時計の針が1時間進むため、観光客のスケジュールにも大きく影響します。

砂漠を見てみたいという一心で計画した今回のアフリカ旅。新しい世界に一歩踏み出せば、「こんなことがあるのか」という発見の連続で、自身の視野や関心が日々広がっていくのを実感しました。そして何より胸を打たれたのは、行く先々で触れた「ひと」の心の温かさです。普段の生活では接点の少ないモロッコですが、実際に足を運び、人と触れ合ったことで、遠い異国がぐっと身近な存在に変わりました。知識として知るだけでなく、生身の温度感をもって世界とつながること。それこそが、旅に出る最大の意義だと感じています。

 

【参考記事】

TBS NEWS,2026年10月16日,「サハラ砂漠で旅行者を乗せたトラックが故障 飲み水枯渇し旅行者ら49人死亡」