子どもが繋ぐ人と人の縁 子ども食堂のお祭り

子どもが上げる歓声に活動を支える大人たちの声が入り混じり、活気に満ちた空気に包まれる。子ども食堂は、そんな誰もがひとりにならない空間として存在しています。現在、大阪府茨木市には子ども食堂と呼ばれる場所が35箇所あります。そのうちの一つである、「ままとこ ごはん」では、9月22日に「ままとこ カーニバル」が開催されました。

このイベントは「ままとこ」という子ども食堂を中心とした親子ひろばで一年に一度開かれるお祭りです。小さな子供が楽しめる「感覚遊び」や、小学生が夢中になれる縁日コーナー、大人も楽しめるパラコードワークショップ、さらには主催者の知人によるマッサージブースなどの出店もあります。そして、子ども食堂として食事も提供され、近隣に住む多くの方々、そしてこのイベントを知って駆け付けた沢山のボランティアスタッフで会場は埋まりました。

 

2人の専業主婦が出会う 素敵な化学反応

この食堂は、二人の女性が専業主婦の生活の中で見つけたそれぞれの想いを合わせて始めたものです。ともちゃん、と呼ばれる西田智子さん。たなまきさん、と呼ばれる田中真希さん。出会ったきっかけは子育て広場で、同い年の子どもがいたことがきっかけ。今ではもう17年以上のお付き合いです。

 

左から西田智子さん、田中真希さん(筆者撮影)

 

二人の思いは全く同じだったわけではありません。西田さんは子どもを自由にできる空間があること、そして育児をする方々との会話ができることが、自分の育児で救いになると考えました。コロナウイルスの影響があった時期で、お出かけできず孤独のなかで子どもと向き合う親がいるのではないかと考えたそうです。コロナ禍を気にせず、気軽に利用できる子どものため、そして親のための場所があればいいのに―。

その考えを聞いて、できることから一緒にと声をかけたのが田中さんです。子どもと向き合う中で自分に余裕がなくなっていく、母親である自分が幸せを感じられずになりたくない自分になっている。そう悩んだ体験がありました。そして、考え方を変えて常識や「○○であるべき」という思い込みを取っ払ったことで、自分のことを大切にできるようになったそうです。この経験から、世間の常識にとらわれて息苦しくなっている親が安心して弱音を吐ける場所を、という想いから、西田さんと一緒に動きだしました。

2022年5月に大阪府茨木市総持寺にあるコミュニティセンターで、未就学児を対象にスタートします。まずは寒天遊びと呼ばれる、寒天ゼリーを触ったり踏んだりする感触遊びから始まりました。

 

もっといろんな人が来てほしい! 想い膨らみ子ども食堂に

翌月にはベビーマッサージを行い、7月にはまた感触遊び、といったように、子どもも親も笑顔になれる「場」を毎月一回から二回、開くようになります。家ではできないような、汚れたり広がったりして後片付けが大変な遊びも大歓迎です。子どもが笑顔になると親も笑顔になれる、と信じて企画を練るようになります。

早くも10月には転機が訪れます。「未就学児だけではなく、もっと大きな子供が来てもいいのではないか」、「いろんな状況、環境、世代の親が心地よく過ごせる場所を作りたい」という想いから、子ども食堂という新たな挑戦を決めました。

それ以降は子ども食堂と感触遊びを交互に行うようになります。今では感触遊びが減り、子ども食堂が中心となっています。また、子ども食堂の中にどんな年齢の子どもでも遊べるようなブースを作り、おままごとからオセロ、パズルゲームなど様々なものを用意しました。

メニューは毎月変わり、月に一度子どもが100円で、親は500円でご飯を食べられる空間が、総持寺に生まれます。お腹いっぱい食べてほしい、という田中さんの想いから、子どもはおかわりも大歓迎。お皿は自分でお返しに行くなど、子どものことを想った仕組みができています。一回無料、二回目以降も10円でできるミニゲームブースもあり、景品にはお菓子やおもちゃが用意されています。ここは小学生以上の子どもを中心に常に盛り上がりを見せています。

 

年に一度のお祭り 今年で5度目の開催

「ママとコ カーニバル」は今年で5年目。当初はなかった食事ブースも、2度目の2023年以降は開かれています。ボランティアスタッフは15人以上。普段の子ども食堂を手伝っているメンバーもいれば、その知り合いや、初めて来た人もいます。「みんな楽しみましょう!!」という声がかかり、各場所を担当するスタッフが他の場所で遊ぶことも。お昼ごはんにはカーニバルで提供されているタコライスが準備されました。

 

ゲームコーナーで遊ぶ子どもと見守るスタッフ(筆者撮影)

 

筆者もボランティアスタッフとして参加し、縁日コーナーのマスコットすくいを担当しました。声をかけると、嬉しそうに微笑む子もいれば、話しかけてくる子、すごく難しい表情をする子など、それぞれの個性が感じられて、こちらも自然に笑顔になります。

また、子どもだけではなく親の個性も感じます。3姉妹のお父さんが後ろから嬉しそうに動画を撮っていたり、子どもがミニプールに手を伸ばすのを「がんばれ!」と声をかけるお母さんがいたり。子どもの鋭い「パパは応援してくれないの?」という声にたじろぐ姿も。一緒にお出かけしたからこそ得られる発見も多いことでしょう。

そんな、子どもは楽しく、親は子供の成長を見守ることが出来る空間として、会場は笑顔でいっぱいになりました。ボランティアスタッフも、互いのバックグラウンドを話して、仲良くなれます。来てくれた親子の姿を見ることで、気が付けば幸せになっていました。

 

 

毎月開催される子ども食堂や親子ひろば。そして年に一度9月に開催される「ママとコ カーニバル」。ママと子どもだけの育児だったのを、いろんな周りの人も巻き込んでみんなが楽しく、そして自分のことを大切にして取り組めるように。そんな願いが込められています。

 

筆者が会場を出るときに、小さな女の子が階段までお見送りをしてくれました。

「ねぇね、あのね、63個取れたよぉ」

さっきよりも増えたね、と声をかけると、へへんと言わんばかりの「どや顔」。じゃあお姉ちゃん帰るからね、と言うと、力いっぱいバイバイをしてくれました。

 

育児に悩む親も、遊び足りない子どもも、このような人と繋がれる空間で自分のことを大切にできることが理想であると筆者は考えます。

 

【参考資料】

ままとこInstagram https://www.instagram.com/mamatoco___?stkn=c3g3Ym8wdmgyM20=