テレビニュースや新聞報道によると、お盆休み初日の8日、東京・羽田空港では海外旅行に向かう人の出国ラッシュが始まり、この日だけで約4万人が海外へ向かったと見られています。国内線の下りも8日が混雑のピークとなり、予約率は全日空が91.7%、日本航空が80.7%に達しました。鉄道も混雑し、東京駅では、ふるさとや行楽地でお盆を過ごす人たちが朝から列をつくりました。東海道新幹線「のぞみ」の下りでは、午前中を中心に多くの列車が満席となるなど、各地で大きな人の動きが見られました。
長期休みを利用した人の流れは、北陸にも向かっています。今回は福井県に注目します。
2024年3月に北陸新幹線の金沢―敦賀間が開業して以降、福井県に首都圏などから新幹線で直接訪れることができるようになりました。福井駅や敦賀駅に新幹線が乗り入れたことで、これまで以上に県外から人を呼び込む環境が整っています。
福井を代表する場所として、改めて注目されているのが坂井市の東尋坊です。
東尋坊
(2024年5月4日筆者撮影)
日本海に面して約1キロにわたって続く断崖。垂直に立ち並ぶ岩の柱が特徴的な景観は、約1200万年前の火山活動によって生まれた岩石が、長い年月をかけて日本海の波に削られることで形成されました。
東尋坊を特徴づける「柱状節理」は、火山岩が冷えて固まる際の収縮によって生じた割れ目です。その後、長い年月にわたる日本海の波による浸食で、現在の断崖が形づくられました。こうした岩石の組織や浸食によって生まれた独特の景観が評価され、1935年には国の名勝・天然記念物に指定されています。
高さがあり下をのぞき込むと自然と足もすくむ
(2024年5月4日筆者撮影)
東尋坊の魅力は、断崖を上から眺めるだけではありません。海から見ると、また違った姿が見られます。観光遊覧船では、約30分かけて断崖周辺を巡ります。船が岩壁に近づくと、陸上からは見えにくかった柱状節理や、波の浸食によって複雑な形になった岩場が間近です。波形岩やライオン岩、千畳敷、ろうそく岩など、海上からでしか分かりにくい特徴的な岩もあります。
遊覧船から見る岩壁
(2024年5月4日筆者撮影)
船から見上げると、岩壁がさらに高く、迫力のある光景に思わず息をのみました。
そんな東尋坊では現在、大規模な再整備が進められています。市は「環境共生」を基本理念に掲げています。駐車場の緑化や散策路の整備などを進め、人工的な要素を減らしながら、東尋坊本来の自然を生かすことを目指しています。再整備の中心となるのが、ビジターセンターで展示室や展望スペースなどを備え、東尋坊の地質や歴史を紹介する拠点となる計画です。再整備は2028年度を一つの区切りとして進められています。
そして、もう一つ見逃せないのが北陸新幹線の大阪延伸です。現在、北陸新幹線は敦賀が終点です。東京方面から福井へのアクセスは大きく改善した一方、大阪や京都から福井へ向かう場合は敦賀駅での乗り換えが必要となっています。
敦賀から新大阪までの延伸については、長く小浜・京都ルートをめぐる議論が続いてきました。今年7月には、与党の整備委員会が、「桂川案」を今後のルート案として取りまとめました。京都側の新駅をJR桂川駅付近に設ける案です。ただ、現時点で直ちに着工が決まったわけではありません。今後、京都府や京都市などとの調整に加え、環境影響評価や財源、地下水、文化財・歴史的建造物への影響などについて検討を進める必要があります。
大阪まで新幹線がつながるのはまだ先の話ですが、福井にとっては関西圏との結びつきをさらに強める可能性を持つ計画です。
北陸新幹線の金沢―敦賀間開業によって、福井への入口は変わりました。さらに大阪延伸が実現すれば、関西方面からのアクセスも変わることになります。一方で、交通が便利になればなるほど、訪れた人をどのように地域へつなぎとめるのかが重要になります。
だからこそ、再整備で目指すべきは、長い時間をかけて生まれた景観を守りながら、いまの時代に合った形でその価値を伝えていくことです。交通と地域の環境が変わる中で、東尋坊がこれからどのように受け継がれていくのか注目されます。
参考サイト
FNNプライムオンライン 「お盆の帰省・行楽ラッシュ始まる 羽田空港や東京駅で混雑ピーク 熊本では家族との再会も 令和8年8月8日は“はちみつ結び婚”ラッシュ」 https://www.fnn.jp/articles/-/1091335
FNNプライムオンライン 「北陸新幹線延伸「桂川案」 2016年の小浜・京都ルート決定から10年、ようやく一歩前進 2027年度中の認可・着工に向け正念場
福井テレビ」https://www.fnn.jp/articles/-/1075930?utm_source=chatgpt.com
福井県公式観光サイト 「断崖絶壁!福井の観光名所「東尋坊」の楽しみ方ガイド」 https://www.fuku-e.com/feature/detail_268.html#1234
FUKUI https://fukui.mytabi.net/tojinbo.php
参考新聞
朝日新聞7月25日付朝刊 「JR、お盆期間の予約数最多」
読売新聞8月17日付 「思い出いっぱい またね Uターンラッシュ本格化=福井」
日経新聞8月17日付 「お盆の東海道新幹線、利用が過去最多 燃油高で航空からシフト拍車―ビジネスTODAY」


