東日本大震災から15年が経った福島の今 原子力災害がもたらした影響とは

2011年3月11日、東北地方の沿岸部を中心に震度7、マグニチュード9.0の巨大地震が発生し、それに伴い大津波が東北地方を襲いました。地震や津波で多くの建物が被害を受けたなかで福島県双葉町、大熊町にまたがる東京電力福島第一原子力発電所も津波によって甚大な被害を受けました。原子力発電において重要な「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」のうちの冷却機能が失われ、水素爆発を起こしたことにより街中に大量の放射性物質を放出してしまうこととなりました。

 

同県同町にまたがる中間貯蔵施設は放射性物質を含んだ大量の土を分別、除染し保管する施設です。南北に8km、東西に2km、1600haにもなり東京都渋谷区とほぼ同じ面積の大きな施設です。土以外にも汚染された建物の焼却灰なども貯蔵されています。この施設では環境省が定めた年間の被ばく量1mSvに抑えるため、放射性物質の原子核の変化を表す指標で8000Bq/kg以下になるまで土を貯蔵し再生利用するそうです。ちなみに私たちの生活でも空気中や食べ物などからの自然放射線やCT検査などの人口放射線により日本では年間平均で約2.1mSvの放射線を受けています。

東京電力福島第一原子力発電所、手前には中間貯蔵施設が広がっている(3月11日、筆者撮影)

 

貯蔵されている土は断水シートや放射線を遮蔽するための土などで覆われて貯蔵されています。街で除去され、除染などの処理がされた土(放射線量が8000Bq/kg以下の土)は復興再生土と呼ばれ、中間貯蔵開始から30年以内の45年までに福島県外で最終処分されることが中間貯蔵・環境安全事業株式会社法によって定まっています。そのため貯蔵施設では復興再生土の利用に向けた道路盛土実証事業などが進められています。

 

貯蔵施設の付近にある中間貯蔵事業情報センターでは、除染で発生した土などの貯蔵方法や施設内に保管されている土のこれからの活用方法について説明されています。情報センターは25年3月15日に開業しました。案内をしてくれた方によると、1年間で2万人ほどの人が訪れており、そのうち中間貯蔵施設の見学者は9000人にものぼります。日本各地の学校の児童や生徒が訪れ、筆者が見学した日にも京都の高校名がかかれた大型バスが停車しているのが目に入りました。

 

25年8月に訪れた際はマスクやヘルメット、長袖、長ズボンなど着用する必要があったものの今回はその必要がありませんでした。そのわけは施設内で見学可能な場所の工事が完了し、放射線量の確認ができたからだといいます。推奨はできないとのことですが、マスクをせずに半そで、半ズボンで施設を見学することも可能だそうです。

 

中間貯蔵施設内にある福島県水産種苗研究所では原子力発電によって排出された暖かい海水を利用し、ヒラメの稚魚などが育てられていました。特徴的な大きなドーム型の屋根には津波や経年劣化によって崩れ落ちてしまっている箇所もあり、津波の脅威と時の流れを感じさせます。

福島県水産種苗研究所、津波や経年劣化によって屋根がはがれている箇所がある(3月11日、筆者撮影)

 

最後に大熊町にある特別養護老人ホーム「サンライトおおくま」です。ここは高台にあるため津波の被害は受けませんでした。しかし、福島第一原発と約1.3kmの距離にあり、原発の爆発事故の影響で避難を余儀なくされました。建物の中を覗くとベッドや車椅子などが残されており、15年前から時が止まっているように感じます。事務室の机の上にはファイルなどの資料が散乱しており、巨大地震の恐怖や原発事故による突然の避難に対する混乱の様子が伺えます。建物内には動物の排泄物が見え、付近に震災当時から停車している車の中には差し入れに来ていたのかドーナツの箱が残されていたことが印象に残っています。

サンライトおおくま(3月11日、筆者撮影)

サンライトおおくま、震災当時の混乱の状況が伺える(3月11日、筆者撮影)

 

現在新潟県にある柏崎刈谷原子力発電所では発送電の停止についてのニュースが報じられています。東日本大震災から15年経った今、原子力という発電方法について正しく理解し、もう一度日本のエネルギー事情や原子力発電の今後の在り方について考えてみることが大切なのかもしれません。

 

参考文献:

2026年3月18日付 朝日新聞デジタル 柏崎刈羽原発6号機、漏電警報の原因が判明 東電、今後の工程は未定

https://www.asahi.com/articles/ASV3L1CW7V3LUOHB001M.html

2026年3月18日付 日経電子版 柏崎刈羽原発の漏電警報、アース部品破損が原因 東京電力が発表

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC182KX0Y6A310C2000000/

2026年3月18日付 読売新聞オンライン 柏崎刈羽原発6号機の発送電停止、アース部品の破損が原因…営業運転開始の見通し立たず

https://www.yomiuri.co.jp/national/20260318-GYT1T00467/

 

参考資料:

環境省 放射線による被ばく

https://www.env.go.jp/chemi/rhm/current/02-05-01.html

e-gov法令検索 中間貯蔵・環境安全事業株式会社法

https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000044