1912年に崩御された日にあわせて、7月30日に明治天皇の陵である伏見桃山陵(京都市伏見区)を参拝しました。諡号(しごう)や陵名などが彫られた御陵印を頂きました。神社やお寺でいただける御朱印とは一味違う魅力を紹介します。
1912年9月13日、現在の神宮外苑で国葬「大喪の礼」が行われ、14日に伏見桃山陵に埋葬されました。生まれ故郷だった京都に眠ることになったわけです。京阪の桃山南口駅から徒歩10分ほどですが、伏見桃山城の跡地にあるため、道のりは楽ではありません。山道を通り抜けると、230段もある大階段が見えてきました。ヘトヘトになりながらも一段ずつ踏みしめながら上り終えると、深い静寂に包まれた空間が広がっていました。「上円下方」の墳墓の手前には立派な三つの鳥居が整然と並んでいます。
拝礼を済ませ、御陵印をいただくため、参道脇にある宮内庁管轄の桃山陵墓監区事務所へと足を運びました。御陵印には諡号や陵名などが彫られています。天皇の陵などは、多摩・桃山・月輪・畝傍・古市の五つの区に分けて宮内庁が管理しており、それぞれの区の事務所で、管轄している陵の御陵印を頂くことができます。桃山監区は伏見桃山陵に事務所があり、桓武天皇の柏原陵などの29の御陵印を扱っています。
神社やお寺の御朱印と異なり、社務所などで書いてもらうものではなく、宮内庁が管理する事務所で参拝者自らが押印するスタイルなのが大きな特徴です。静かな事務所で息を整え、自分の手で朱印を押す瞬間には、独特の緊張感がありました。初穂料なども一切かかりません。季節限定の絵柄などはなく、ただ文字だけが質素に刻まれています。だからこそ、格式高さと歴史の重みが伝わってきます。
参拝者自身が台紙や集印帳を持参しなければなりません。筆者は、京都の古本まつりで手に入れた1940年発行の「御陵謹拝帖」に押印しました。昭和初期には、皇陵参拝ブームがあったようです。入手した時点で、複数の御陵印が押されていて、昭和16年と参拝日時が記されていました。古本市で出会った一冊を通じ、80余年の時を超えてかつての参拝者と自分の歩みが重なるような、不思議な感覚を覚えました。
華やかな御朱印とは一味違う、無骨で静謐な御陵印の世界。歴史の息吹を感じに、足を運んでみてはいかがでしょうか。
参考資料:
陵印について 宮内庁
https://www.kunaicho.go.jp/visit/ryobo/stamp.html






