「栃木シティ」J2昇格の秘訣とは

明日は「Jリーグの日」です。筆者の住む栃木県では昨年J2昇格を果たした栃木シティが注目されています。関東リーグからJFL、J3、そしてJ2へ、わずか3年での連続昇格は、Jリーグでも異例の快挙です。なぜ栃木シティは、ここまで急成長できたのでしょうか。

 

要因として挙げられるのが、クラブ経営の改革です。2018年、前身となる栃木ウーヴァ時代に関東リーグへ降格したクラブは、日本理化グループを中心とした新体制へ移行しました。地域リーグ所属にもかかわらず全選手をプロ契約とし、シティフットボールアカデミーを開校するなど精力的な投資を進めました。アカデミーではクラブスタッフ、マネージャーなどの育成もしています。学生たちはボランティアスタッフも担っており、試合の運営にはインターンシップ的な意味合いがあるのも特徴です。21年には自前の専用スタジアム「CITY FOOTBALL STATION」を整備し、練習場やアカデミー環境もさらに充実させました。

 

また、栃木シティには「フットボールの理想郷」とも称されるスタジアム文化があります。栃木市の田園地帯にあるスタジアムは、観客席とピッチの距離がおよそ5メートルと、選手の息遣いまで感じられる空間となっています。試合前には家族連れや子どもたちが芝生で遊び、地域住民が自然に集う場所となっています。

 

さらに田中パウロ淳一選手がSNSを通じて発信する広報の影響も大きかった。Tiktokのフォロワーは50万人を超え、Jリーグを見る人でパウロ選手を知らない人はいないと思います。12年にJ1の川崎フロンターレでJリーグデビューをし、その後4クラブを渡り歩いた後、23年に栃木シティへ加入しました。前年までの1試合平均8000人を集めていたJ3チームから一転、関東リーグでは、たった100人のお客さんの中で試合をすることもありました。そんな中で「栃木としてはお客さんを増やさなくちゃいけない。僕のSNSはそれを助けられるんじゃないか。それなら毎日投稿しなくちゃいけない」と感じたそうです。

 

栃木シティのJ2昇格は、地域に根差したクラブづくり、そして選手・サポーター・地域住民が一体となった成果であるとも感じられます。ショート動画を通してファンとの距離を縮めたことが、Jリーグ参入後の集客力向上にも結び付いたのです。今後の活躍が楽しみであるとともに全国の地方クラブにとってのモデルケースとなる可能性を秘めています。