自分の通っていた学校の「学祖」、つまり創立者を答えられますか?
早稲田なら大隈重信、慶応では福沢諭吉です。筆者の通う國學院大學にはこうした人物が存在しません。明治時代、西洋文化が流入してくる中で日本古来の文化を大切にするムーブメントが起こり、この大学は誕生しました。今回は母校の歴史や全国でも珍しい神道文化学部についてお伝えします。
起源は明治15年に設立された皇典講究所です。神職の後進を育てるために作られた学び舎で、学生は国学や古典を学んでいました。大正10年に大学令が施行され、「國學院大學」へ昇格します。これに伴い神職としての知識を習得する学校と神職免許を発行する皇典講究所とに分けられます。校舎は千代田区の飯田橋にありましたが、前を東京市電が走るなど地域の開発による騒音の影響で、大正12年に今の渋谷区に移転しました。
本学は文学、法学、経済学、神道文化、人間開発、観光まちづくりと6つの文系学部で構成されます。筆者は経済学部で学んでいます。中でも歴史の長いのが神道文化学部です。白い装束を着てキャンパス内を移動する学生を他大学のキャンパスで見ることはないでしょう。他学部の学生も神道に無縁ではありません。まず入学すると、全学部共通で必修科目「神道と文化」を履修します。ここで神道の精神や学校の歴史を学びます。1年時に取得できないと2年に進級できません。
一方、神道文化学部の学生は1年時に神道史学や世界宗教文化論などの科目を履修します。2年時は古典講読や国学概論、宗教考古学などより深まった授業を取ります。3年時は祭祀学や祝詞作文などの授業を通じて神職としての専門的な知識を身に付けます。最終学年では全国の神社で、およそ30日間の神社実習に参加します。信仰心を深め、神職になる者としての信念を固めるための重要な実習だと位置付けられています。
筆者は中学生の頃、地元宇都宮市の護国神社で職業体験をしたことがありました。朝の落ち葉掃きから1日が始まり、祝詞を読んだり、来客の御朱印対応をしたりと、業務は多岐にわたりました。体験した10月は翌月に控える七五三の準備にも追われていました。紅白の千歳飴を袋に入れながら、子供の成長を祝い、希望をもって手を合わせる、そんな心のよりどころである神社を魅力的に感じました。
しかし近年、神社を含む日本古来の文化財は災害の危機にさらされています。2019年は那覇市の首里城が炎に包まれました。海外ではパリ・ノートルダム大聖堂も焼け落ちています。大災害時代の今、地方の神社は後継者不足も相まって、消滅のおそれさえあると指摘されています。天災は予測不可能ですが文化財の減災は可能であり、官民・地域コミュニティーで歴史的建造物を守っていく体制を整える必要があるとも感じます。
筆者たち、若い世代が2000年以上続く神社という伝統文化に関心を持ち、関わり続けることがなにより大切だと思います。帰省した際は近くの神社へ行ってみたり、街の歴史を調べてみたりしてもよいのではないでしょうか。来年度は國學院大學ならではの伝統文化を学べる科目を履修して、学びを深めていこうと思います。
参考文献:
國學院大學HP 國學院大學の「はじまり」をたどる。國學院は、“時代のムーブメント”によって創設された学校だった①(https://www.kokugakuin.ac.jp/article/373698)
参考記事:
1月25日付 読売新聞オンライン 文化財を火災から守れ…さいたま市の神社で消火訓練(https://www.yomiuri.co.jp/local/saitama/news/20260124-GYTNT00149/)
1月26日付 朝日新聞デジタル (文化財 危機と未来)悠久の宝、災害から守るには 設備更新と市民意識の醸成カギ(https://digital.asahi.com/articles/DA3S16389288.html?iref=pc_ss_date_article)



