事故から2年。犠牲者の命を無駄にしないために

 大阪発沖縄へ、1泊3日で13,800円~。大阪発ディズニーランドへ、1泊2日で11,200円~。

 これらは航空機チケット代金とホテル宿泊費がセットになった金額です。春休み中に旅行をする人を狙い、大学の生協には様々な格安ツアーの案内が並んでいます。

 お金がなくても、時間はある。そんな大学生達は、できる限り費用を抑えて旅行の計画を練ります。

 

 2年前、長野でのスキーを楽しみに東京でバスに乗り込んだ大学生達にとっても、格安のスキーツアーは魅力的だったことでしょう。

 

 大学生ら15人が死亡した長野県軽井沢町のスキーバス転落事故から今日で2年。現場では、遺族や犠牲者が通っていた大学関係者らが献花を行いました。

 2年経ち、人々の記憶から事故のことは薄れつつあります。しかし、遺族や負傷者、犠牲者の友人らに事故に「終わり」はありません。会社の責任を明確にするため、遺族会は活動を続けています。

 事故をきっかけにバス運転手が置かれる過酷な労働環境が明らかになりました。外国人観光客の増加でバスの需要が増加する中、運転手の人出は不足し、1人当たりの総走行距離の増加、賃金の減額などにつながっていました。また、運転手の高齢化も進んでいました。

 事故当時の過酷な環境は変わったのでしょうか。 

 15日付日本経済新聞大阪14版の34面では事故の再発防止を願う遺族の声が伝えられています。しかし、その隣、35面では人手不足による長時間勤務の常態化や高齢化によって、バスやタクシーの事故増加が報じられています。

 人手不足の問題は改善されていません。現状では、バスやタクシーの本数減少など運転手の環境改善を優先した思い切った改革が必要なのではないでしょうか。

  事故に「終わり」はありません。今後も運転手の環境改善への取り組みに注目していきたいと思います。

参考記事:

15日付 日本経済新聞朝刊(大阪14版)34面「子供の死 無駄にしないで」

                    35面「運転手が脳疾患、事故増加」

 同日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)38面「娘の命 無駄にしない」