アジアにも難民はいる

 この数日、「ロヒンギャ」という言葉がメディアでよく聞かれます。仏教徒が9割近くを占めるミャンマーでは少数派のムスリムです。約130万人いるとされています。  

 先月25日、西部ラカイン州でロヒンギャとみられる武装集団が起こした警察施設襲撃事件がきっかけとなり、軍との戦闘が続いています。今日の報道によると、この間の死者数は約400人に達し、巻き込まれたロヒンギャ住民ら3万8千人が隣国バングラデシュに逃れました。犠牲者は、武装集団側をはじめ警官や兵士、さらに住民も含まれます。先月29日の記事によると、ミャンマー政府は、武装集団「アラカンロヒンギャ救済軍」(ARSA)が事件を起こしたと断定し、テロ組織に指定しました。  

 つい最近までロヒンギャが何を指しているのかも知らなかったのですが、先日一人の男子学生に話を聞き、興味を持ちました。仏教徒が圧倒的多数のミャンマーで、彼らはかねてから差別や迫害を受けてきたといいます。100以上の民族が暮らす多民族国家ですが、政府はロヒンギャに国籍を与えていません。抑圧されてきた歴史が、過激派集団を生み出したのでしょうか。一部の過激派によってロヒンギャ自体のイメージがさらに悪化するのではないかと心配です。ほかの地域のムスリムと同様に、彼らもこの問題に悩まされているのでしょう。  

 話を聞いた学生は、ロヒンギャ問題を追ったドキュメンタリーを製作するために何度かミャンマーを訪れました。アウンサン・スーチー国家顧問は、支持基盤である仏教徒の反発と、いまだに強い力を持つ軍との板挟みに遭い、対応に苦慮しています。迫害に対して沈黙しているとも取れるスーチー氏の姿勢は残念だ、と彼は言います。  

 以前の投稿「知ってほしい 美しかった国の姿」ではシリア難民を取り上げましたが、アジアにも難民はいると知りました。ロヒンギャ難民の人々のために、自分は何ができるのか。調べてみると、これまでに、食糧支援のための募金などが実施されているようです。無関心な状態からはひとまず脱け出しました。周りの、ロヒンギャを知らない人と問題を共有することを次のステップにします。

参考記事:

2日付 朝日新聞朝刊 東京14版 11面「ロヒンギャら、死者400人に」

先月29日付 朝日新聞朝刊「ロヒンギャ衝突、見えぬ出口」