最近、ごみ収集のアルバイトを始めました。実際に働いてみると、想像以上に危険と隣り合わせの仕事だと痛感します。現場での作業に入る前には安全に関する研修があり、ごみ収集車にごみ袋を入れる際には手を深く入れないこと、車から降りるときには左右をしっかり確認することなど、基本的な注意事項を教わりました。
自分で防げる事故はできる限り防がなければならないと、強く感じています。しかし、作業員自身の注意だけでは避けきれない危険が潜んでいます。それは、ごみ袋の中に混ざっている注射器やスプレー缶、モバイルバッテリーなどの危険物です。原則として可燃ごみに出してはいけない物ばかりですが、実際には分別が十分でないまま出されてしまうことがあると聞きました。
実際のごみ収集では、袋の中身を一つひとつ確認しながら回収する余裕はありません。そのため、危険物が紛れ込んでいると、作業員にとって大きな危険になります。近年、なかでも深刻なのが、モバイルバッテリーなどに使われるリチウムイオン電池です。
この電池は、ワイヤレスイヤホン、電子たばこ、モバイルバッテリーなど、私たちの身近な製品に幅広く使われています。便利な一方で、強い衝撃や圧力が加わると発熱・発火する恐れがあります。日本経済新聞によると、25年廃棄されたリチウムイオン電池が原因とみられる火災は、ごみ処理関連施設で
こうした状況を受けて、自治体も対策に乗り出しています。読売新聞によると、東京都は26年度から、リチウムイオン電池の混入によるごみ処理施設の火災や稼働停止を防ぐため、安全対策の強化を支援するとのことです。都庁舎で使用済みリチウムイオン電池の回収を新たに始めるほか、消費者に向けて、分別や再資源化の重要性を伝えるキャンペーンにも取り組むといいます。行政が動き始めていることは心強いですが、本当に事故を減らすためには、一人ひとりの意識が欠かせません。
では、私たちはどうすればよいのでしょうか。まず、スプレー缶やカセットボンベは中身を完全に使い切ったうえで、自治体のルールに従って出す必要があります。モバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池は、可燃ごみや不燃ごみに混ぜず、販売店やメーカー、自治体の回収窓口に持ち込まなければなりません。住んでいる自治体のホームページを確認すれば、回収場所が案内されていることが少なくありません。注射器や注射針などの医療ごみは、必ず処方や交付を受けた薬局や医療機関に返却しなければなりません。
ごみの分別は、単に環境のためだけではありません。ごみ収集の仕事をする人の安全を守るためにも、とても重要なことです。私自身、現場に立つようになって初めて、「たった一つの分別ミス」がどれほど危険なのかを強く意識するようになりました。見えないごみ袋の中には、作業員にとって刃物や火種と同じような危険が潜んでいることがあります。私たちが普段何気なく出しているごみの処理は、多くの人の手で支えられているのだということに、少しでも思いを巡らせていただきたいものです。
日本経済新聞、2026年3月26日「モバイルバッテリーによる火災66%増 25年482件、普及進み経年劣化」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF268J60W6A320C2000000/
読売新聞オンライン、2026年3月16日「東京都庁で使用済みリチウムイオン電池回収、再資源化とごみ処理施設の火災防止を強化…新年度から」https://www.yomiuri.co.jp/national/20260316-GYT1T00198/
京都市情報館、2025年10月1日「小型金属類・スプレー缶」https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/page/0000309413.html