アマチュア無線が人口衛星でも活躍!? 奥が深い無線の世界

1961年12月12日、アメリカで世界初となるアマチュア衛星の「オスカー1号」の打ち上げに成功しました。「アマチュア無線搭載人工衛星」を意味するOrbiting Satellite Carrying Amateur Radioのそれぞれの単語の頭文字から「OSCAR(オスカー)」が衛星の一部に入れられています。オスカー1は、モールス信号のHIを地上に向けて繰り返し発信しました。

 

アマチュア衛星は個人的な趣味の団体や大学の研究室などが自ら製作する通信衛星で、地球観測や天体観測などの科学目的の衛星もあります。これらはアマチュア無線の周波数帯を用いて情報を送っています。政府機関や商業衛星サービス企業などのものとは異なります。

アマチュア衛星に搭載される無線局と制御する地上の無線局は「人工衛星のアマチュア無線局」と呼ばれています。人工衛星とは言えアマチュア局に変わりないため、アマチュア業務に限られます。しかし、人工衛星の局は一般的な局とは態様が異なることから手続きや制度が大きく変わります。

例えば、申請者や免許人は社団である必要があるため個人で申請することはできません。まず世界で既に打ち上げられているアマチュア衛星との混信を防ぐため、IARU調整(国際アマチュア無線連合調整)をする必要があり、事前にJARL(日本アマチュア無線連盟)で申請書類などの確認を受ける必要があります。

国際周波数調整や国内干渉調整を済ませるには最短でも8カ月以上がかかります。調整が終わると電波法によって免許申請や審査、検査などの手続きに入りますが、これらにも6か月の時間を要します。

 

86年には種子島宇宙センターから「ふじ1号」が打ち上げられました。これは日本のアマチュア無線組織として初の衛星です。こうした衛星は世界でも数多く打ち上げられており衛星通過の予定時刻を確認できるサイトもあります。衛星でも使われているほど奥が深い無線技術。まずは身近のアマチュア無線から始めてみてはいかがでしょうか。

アマチュア無線のハンディ機であるICOM ID-52(12月12日、筆者撮影)

 

参考文献:

2024年6月20日付 朝日新聞デジタル 大学生製作の超過型衛星は生きていた 1週間後に宇宙から届いた吉報

https://digital.asahi.com/articles/ASS6K224JS6KUDCB014M.html

 

参考資料:

総務省 電波利用ポータル 人工衛星のアマチュア局(アマチュア衛星)

https://www.tele.soumu.go.jp/j/others/amateur/confirmation/amasat/

JAMSAT 日本各地の衛星通過時刻の予報

https://www.jamsat.or.jp/pred/