テロの衝撃 「日本」「日本人」ができること

7日に発生したフランスの新聞社襲撃事件。逃亡を続けていた実行犯2人は9日、特殊部隊によって射殺されました。事件は終結しましたが、12人が殺害された「言論・表現の自由」への挑戦に衝撃が広がっています。

フランスのオランド大統領は事態収束を受け、国民向けにテレビ演説をしました。

「狂信主義はイスラム教とは別物だ」

犯行は過激思想に基づくものであり、安直にイスラム教と結びつけないよう国民に呼びかけました。この発言の背景には、イスラム教徒の移民が多く住むフランスの苦悩があります。500万人のイスラム教徒を抱えるフランスでは、今回の犯行によってイスラム教への偏見が広がっています。嫌がらせや差別が数多く発生しているようです。

「団結こそがわれわれの最大の力だ」

オランド大統領は改めて国民の団結を訴えました。また、11日にはイギリス、ドイツ、イタリアなどの首脳とともにパリを行進することも表明しました。

異国のテロに対して、日本は様々な支援をしています。例えば、「イスラム国」の台頭によって難民が大量流入しているヨルダン。日本政府はヨルダンに対し、新たに100億円超の円借款を検討しています。人道支援やテロ対策、インフラの整備など多方面にわたって活用してもらう方向です。

では、「日本人」ができることはないのでしょうか。私は「理解すること」から始めることを提案します。フランス国内では先述のように、イスラム教への差別・偏見が横行しています。「テロ=イスラム教」の認識が広まってしまい、イスラム教徒を危険視する傾向にあります。しかし、過激思想や原理主義は本来のイスラム教とは一線を画すものです。

日本人には正直、イスラム教はなじみ深いものではありません。ピンと来ない方も多いでしょう。ですが、報道を受けて簡単にイスラム教を評価してしまうのは誤りです。しっかりと「理解すること」からスタートしませんか?

 

【参考記事】

10日配信 朝日新聞デジタル「仏大統領『イスラム教は狂信と別』 英独伊首脳ら集結へ」

同日付 日本経済新聞朝刊(大阪14版)4面「中東安定へ円借款100億円」