信頼し合える就活へ

本日の日経新聞によると、26日、日本私立大学団体連合会は会見を開き、2021年入社の学生を対象とした就職活動について、企業説明会を3月1日、採用面接を6月1日解禁とする経団連の指針を堅持すべきだとする考え方を公表しました。経団連によると、21卒の就活時期を早める理由について東京五輪、パラリンピックと重なり、説明会会場や面接会場が抑えられないから、とのことです。

私大団連・就職問題委員会の土屋恵一郎委員長(明治大学長)は「就活の早期化は、企業が卒業論文、卒業研究をはじめとする大学教育の成果に全く関心を示していないというメッセージへとつながりかねない」と説明しています。

6月ももうすぐ終わりを告げる今、大学4年生にとっては、就職活動が一段落着いた方も多いかもしれません。今年も昨年と同様、「経団連ルール」だと、6月1日からが面接解禁日です。一方で、就職情報大手のディスコが7日発表した19年卒の大学生・大学院生の6月1日時点の就職内定率(内々定を含む)は65.7%となっています。これは多くの企業が解禁日よりも前に選考活動を行ったためとみられます。

昨年の6月から約1年間、就職活動をしていた筆者は、この「経団連ルール」が一つの目安になっていました。大学から届いた就活スケジュールを見ながら、今の時期に、何をすればいいかがわかるからです。一方で、「経団連ルール」に沿っていない企業もたくさんあり、「気が付いたら選考が終わっていた」というような経験も何度かありました。

今まで就職活動をしていた身とすれば、時期が早まることで熱い中リクルートスーツを着なくてもいい、というようなメリットもあるかもしれません。それ以上に企業に求めたいのは、選考過程の透明化です。「インターンシップは選考の上での判断材料とします」「面接回数は〇回です」と言ってくれるだけで、どれだけ学生がその企業を信頼できるか。

大学4年生を対象にした新卒採用を、今後も日本で行っていくのであれば、企業・大学・学生の三者ができるだけ納得するような形で行われてほしいものです。

参考記事:
27日付 日本経済新聞朝刊(東京14版)42面(社会)「採用面接の6月解禁、私大団連、維持求める