国土交通省は17日、2026年の公示地価(1月1日時点)を公表しました。
これによると、全用途の全国平均の上昇率は2.8%増(前年比)となり、バブル崩壊以降で最大の伸びとなりました。
一方、筆者が住む北海道の地価上昇率は、住宅地で0.6%(前年1.4%)、商業地で2.5%(同3.1%)、工業地で4.5%(同6.0%)となっており、伸びは鈍化傾向にあります。
今回は、公示地価をもとに道内の現状を紐解きます。
◯伸び悩む札幌圏 滞る再開発
札幌市の地価上昇率は、住宅地で1.1%、商業地で4.6%となり、依然として堅調に推移しています。とはいえ、住宅地で15.0%、商業地で9.7%も上昇した23年と比べると、勢いは鈍っています。
背景としては、近年の地価上昇によって購買意欲が低下したことが挙げられます。
札幌圏の地価はここ数年で急騰し、一部の地点では30%近い伸び率を記録した年もありました。そのため割安感がなくなり、需要が落ち着いてきたと見られます。
また、人件費や建築資材の高騰により再開発計画の遅れや見直しが相次いだことも地価上昇の足枷となっています。
JR札幌駅南口の再開発ビルは当初高さ245メートルの予定でしたが、建設費圧縮のため規模を縮小する方針です。
また、北海道新幹線の札幌延伸の大幅な遅れも再開発に影を落としています。
◯半導体の千歳、リゾートの富良野は勢い続く
次世代半導体の量産化を目指すラピダスの工場が立地する千歳市や、リゾート開発が進む富良野北の峰地区などは昨年に引き続き30%以上の高い上昇率を維持しています。
千歳市の3地点は商業地部門で全国1、2、4位、富良野市北の峰町は住宅地部門で全国2位の地価上昇率となるなど、全国的に見ても非常に高い水準です。
千歳市では半導体工場の建設に伴って関連産業の集積やホテル建設なども進み、街に賑わいが出ています。また、北海道の空の玄関口である新千歳空港が立地する点も大きな利点です。
また、北の峰地区はスキー場などのリゾート施設が並び、「第2のニセコ」として外国人観光客からも注目されています。ニセコに比べて土地も安く、近年は開発が盛んになっています。昨年筆者が訪れた際も、建設中の建物や「SOLD」と英語で書かれた土地の看板が散見されました。
公示地価は各地の発展や衰退の様子を数字という目に見える形で私たちに示してくれます。
筆者が北海道に在住した4年間だけでも、地価上昇の中心は札幌近郊の住宅地から半導体の千歳へ、ニセコから富良野へと変化してきました。
筆者はまもなく北海道を離れる予定ですが、今後も道内の動向を注視していきたいと思います。
参考記事:
3月18日付 朝日新聞朝刊1面「公示地価、5年連続上昇 都市圏の住宅需要旺盛」
日経電子版「名古屋・札幌など地価上昇が鈍化 建設費高騰や人手不足が影」(2026年3月18日)
日経電子版「公示地価2.8%上昇、バブル後最大の伸び 投資マネーが押し上げ」(2026年3月17日)
日経電子版「北海道の公示地価1.3%上昇 建築費高騰で札幌圏郊外の伸び鈍化」(2026年3月17日)
日経電子版「札幌駅前再開発、タワー棟の高さ縮小へ JR北海道」(2025年3月19日)
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