北の大地に初上陸 観光地で設定される二重価格とは

2月上旬に人生で初めて北海道を訪れました。大学入学からの4年間、北海道出身の友人から話を聞いていたので念願叶っての旅行でした。

何より楽しみにしていたのが食です。「ご飯がどれも美味しい」と北海道を訪れたことがある人は口を揃えて言っていたので、毎日何を食べようか悩んでいました。これだけは絶対に食べると決めていたのはスープカレーです。筆者がこれまで暮らしてきた地域ではスープカレー屋を目にしたことはありませんでしたが、札幌には何軒もあります。滞在中に2回も食べに行き、お店や店舗によってこだわりが違うことを実感しました。寒い時期に食べるスープカレーは格別です。40分ほど並び入店したのですが、その間、行列の間からは韓国語や英語が聞こえてきて、観光客にも人気であることがうかがえました。

2026年2月5日 筆者撮影

2月4日から11日までは「第76回さっぽろ雪まつり」が開催されていました。外国人観光客が増加したこと、会期中に好天が続いたことから、来場者はコロナ以降最多となる253万9000人に達したそうです。大通会場、つどーむ会場、すすきの会場と、市内には3つの会場が設けられています。

筆者は大通会場に足を運び、雪まつりの雰囲気を楽しみました。どの雪像も丁寧に作られており、繊細な箇所まで再現されていました。どうやって作ったのだろうと驚くほど大きなものもあり、雪像に目を取られていて、地面の雪で滑りそうになったほど。注意が必要です。

2026年2月5日 筆者撮影:さっぽろ雪まつりの雪像「雪印メグミルク」

滞在中に実感したように、いま札幌市内では国内外問わず観光客の姿がよく見られます。インバウンド対策として道内では「二重価格」を設けている施設もあります。さっぽろテレビ塔は展望台への入場料を値上げしつつ、市民向けは引き下げました。訪日外国人需要の高まりによる混雑や燃料費の高騰などを背景にリフト券の値上げが続くスキー場では「道民割」が定着しています。国籍ではなく居住地で価格を分ける「住民割引型」が主流となっているのです。

筆者が住んでいる京都市ではオーバーツーリズム問題で市バスのあり方が問われています。運賃を市民と市民以外とに区分する「市民優先価格」の導入が検討され、27年度の実現を目指しています。市バスは観光地に簡単にアクセスすることができるため連日多くが利用しています。その一方で、地域住民の生活にも欠かせないものです。通勤や通学の時間帯に満員のバスに乗れなかったという経験は筆者の周りでも少なくありません。市民優先価格が導入されることによって、今後どのようにバス利用が変化していくのか、観光客の視点、住民の視点双方から考えていきたいものです。

国民生活センターには日本を訪れた外国人観光客からのトラブル相談に対応する窓口が設けられています。なかには「海外からの観光客というだけでサービス料を請求された」「日本語のメニューと外国語のメニューで料金が異なっている」というものもあり、二重価格の設定への理解が進んでいるとはいえないようです。

日本が旅行先に選ばれることには誇らしさを感じ、より多くの人に日本の文化に親しんでもらいたい気持ちももちろんあります。しかし、観光地として注目を浴びるなかで、そこで暮らしている人々の存在が見えなくなることもあると思います。暮らしと観光の共存はさまざまな地域で議論されています。日本に住む一人として注目していきたいものです。

参考資料

朝日新聞オンライン 「『客室狭い』『二重価格なぜ』外国人観光客からトラブル相談増加」https://digital.asahi.com/articles/AST8N3279T8NUTFL010M.html?iref=pc_ss_date_article

日本経済新聞電子版 「観光地の二重価格、成否のカギは『住民割』 国籍でなく居住地で区別」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC226H00S6A120C2000000/

読売新聞オンライン 「さっぽろ雪まつり」に253万人が来場、コロナ禍後で最多…大雪像は取り壊し」https://www.yomiuri.co.jp/local/hokkaido/news/20260212-GYTNT00311/