AIとの距離感 模索続けよう

最近、生成AIを使う機会が増えていると感じます。私は友人と卒業旅行の計画を立てるとき、訪れたい場所や交通機関の利便性、予算を入力して、条件に合ったホテルを探すのに使いました。AIは観光地の治安やおすすめの点も教えてくれて、とても便利です。それまで人力で何日間も検索していたのが嘘のように、数秒で候補を出してくれました。大学でも、チャットGPTを「チャッピー」と呼び、使っている人の声をよく聞きます。料理のレシピを教えてもらったり、恋愛相談をしたりする友人もいて、博識な友達のように感じている人が多そうです。

総務省の2024年度の調査によれば、生成AIサービスを使ったことがある人は全体で26.7%、20代では44.7%だったそうです。23年度の調査では全体が9.1%だったそうで、たった1年で利用者が急拡大していることが分かります。また、20代のほぼ半数の人が使ったことがあるという結果には驚きました。

読売新聞によれば、政府は23日にAIの国産開発や活用を強化するための「AI基本計画」を閣議決定したそうです。国内に蓄積された質の高いデータを用い、「日本の文化・習慣を踏まえた信頼できるAI」や現実世界で動く「フィジカルAI」の開発を促進するといいます。

このように利用が拡大している生成AIですが、情報が無断で使われ、報道機関やニュースサイトの不利益につながるケースがあります。日経新聞によれば、AIが報道機関やニュースサイトの許可を得ずに記事を利用し、その情報を回答に反映させている懸念があり、公正取引委員会が調査を行うそうです。

AIが無許可、無報酬で情報を利用していると、本来のニュースサイトのクリック数や広告表示数は減り、ニュースサイトの運営者や報道機関は損害を被ってしまいます。あらたにすを運営する朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞の3社は、AIが記事を無断で利用しているとして訴訟を起こしています。

情報を許可なしに得たり、嘘を記述する「ハルシネーション」が存在したりと、生成AIを100%信用するのは少し不安です。しかし、複数の資料を総合した情報を得られたり、翻訳をしてくれたりと、人間よりはるかに速いスピードで作業をこなす能力を活用することは今後必要なスキルになってきそうです。

生成AIに相談した卒業旅行のホテルなのですが、AIの回答は参考にはなったものの、結局採用しませんでした。安心感を重視して、旅行会社の紙パンフレットに掲載されている宿にしたのです。AIの便利さとその進化には目を見張るものがありますが、アナログの安心感もまだまだ必要とされているのだと実感した出来事でした。

 

 

参考記事

24日付 読売新聞朝刊(大阪13版)1面「AI開発と信頼 両立」

25日付 読売新聞朝刊(大阪13版)1面「AI記事利用 調査開始」

26日付 日経電子版「メディアの競争環境に懸念 AI検索、記事無断利用の恐れ
公取委、広告収入の影響を調査」

24日付 日経電子版 「生成AIの権利侵害「現在も止まらず」 訴訟と並行、新たな仕組みを模索」

 

参考資料

総務省 「AI利用の現状」