日本初のモノレールは上野動物園で開業!? 開業から66年の歴史を振り返る

1957年12月17日、東京の上野動物園内に日本初となるモノレールが開業し、多くの来園者を楽しませました。しかし、車両の劣化などにより2019年から運行を休止し、2年前の23年12月27日付で66年の長い歴史に幕を下ろしました。人々の移動を支えるモノレールは、現在も多種多様な目的で人や物を運び続けています。その役割の重要性を改めて振り返ります。

東京都恩賜上野動物園(12月27日、筆者撮影)

 

モノレールは1本のレールを使う鉄道で、都市交通だけでなく観光や遊戯、農業などで活用されています。一般に誇座式と懸垂式に分かれ、車両がレールの上にある誇座式はドイツが発祥で、アルヴェーグ式といいます。一方、車両がぶら下がって走る懸垂式はフランスから導入され、サフェージュ式と呼びます。

上野動物園モノレールは東園駅と西園駅を結び、正式名称は上野懸垂線といいました。未来の乗り物として脚光を浴びましたが、走行距離はわずか300メートルほど。所要時間は1分30秒という短い路線でした。

この路線は東京都懸垂電車条例に基づいて設置・運行されていました。そのため立派な鉄道事業で、管理は上野動物園ではなく東京都交通局が担当しています。都交通局によると1日平均乗車人数は13年が2980人だったのに対して休止される1年前の18年には3710人と増加しています。ただ、19年には4代目の車両であった40形の老朽化などが原因で運行が止まり、23年には車両や設備の更新費用などの問題もあり廃線が決まりました。実際にモノレールが東園と西園を結ぶため公道を跨いでいた区間に向かうとレールはすでに撤去されており、園内の歩行者が渡れる歩道橋のみが残されていました。

東園と西園を結ぶため公道を跨いでいた区間(12月27日、筆者撮影)

 

現在、日本では8事業者10路線のモノレールが運営されています。そのなかで上野動物園と同じ懸垂式のモノレールは湘南モノレールと千葉都市モノレールの2か所しか残されていません。

本格的な旅客用としては、1964年9月17日に浜松町から羽田空港間(約13km)で東京モノレールの運行が始まりました。運行開始にちなんでこの日はモノレール開業記念日に制定されています。東京オリンピックの開催がきっかけとなり空港から都心部へのアクセス改善のために建設されました。

 

さて、上野動物園のモノレールですが、24年3月に後継となる乗り物の公募審査の結果が発表されています。モノレールではなく2本のレールを車輪で走行する屋根のついたジェットコースターの様な形になるといいます。形が変わっても動物園内で重要な役割を果たすこの鉄道の今後の動向に注目していきます。

 

 

 

参考文献:

2023年9月12日付 日経電子版 上野動物園モノレール24年廃止 苦境の独自規格路線

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC286570Y3A820C2000000/

 

 

参考資料:

東京都交通局 上野動物園モノレール

https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/other/monorail/