熊本県で起きた大地震や千葉県での豪雨など各地で自然災害に見舞われています。西日本では、7月の少雨から渇水が心配されており、和歌山県ではダムの貯水率が3%となるところもあった中で、今回の雨が救いとなった面はあるでしょう。ですが、日々のニュースで各地の深刻な被害が明らかになるにつれ、気が滅入ってしまいます。そんな雨模様の日々ではありますが、皆さんが心を休める時に読んでいただけたらと思います。
筆者はゼミの活動でオタク街をフィールドワークしようということで、5月大阪「日本橋(にっぽんばし)」に行きました。この時の報告記には、「オタク街と聞いて一番に思い浮かべるのは東京の秋葉原ではないだろうか」ということを書いています。それでも日本橋も負けていないということをお伝えしましたが、先日東京に赴き「秋葉原・中野・池袋」というオタク街を堪能してきました。そこで今回は、「オタク街を歩く-東京編-」をお伝えしましょう。
一括りにオタク街と言っても、それぞれの成立背景や主なターゲット層が異なり、知ってから行ってみると意外とその違いが見えてきます。
秋葉原は、男性向けのアニメやゲームを扱った店舗が多く並びます。その歴史を見ていくと、日本橋と同様に「電気の街」として発展してきた背景があります。全盛期と比べると数こそ減ったようですが、トランジスタなどの部品や中古のラジオやCDプレイヤーを扱う専門店が今でも軒を連ねています。こういった電気街は、現代の人々がイメージする秋葉原とは別世界のようなディープな趣がありました。
ではなぜ、「電気の街」秋葉原が「男性向けのオタク街」となったのでしょうか。簡単に言うならば、電気関連、例えばアマチュア無線に興味関心を向けた多くが男性であったことが影響しているそうです。今でこそ様々な分野で女性の活躍も見られるようになりましたが、当時電気=難しいこと=男性のものといった認識がありました。電気街としての様相が変わる中でもこの意識が残ったことで秋葉原は、男性をメインターゲットとしたオタク街へと成長していきました。
男性しかいないかと言われればそんなことはありません。それでも客の多くが男性という印象は強いです。それと同じくらい、外国人観光客の姿もありました。日本のアニメ・マンガコンテンツの世界的な広がりを感じられます。秋葉原は、オタク街の中でも比較的オープンな雰囲気が強いようです。
次に訪れたのが、「中野」です。高級時計の強盗事件があったのでどんな感じなのか知っているという方もいらっしゃるでしょう。確かに、そんなに需要があるのかと疑いたくなるくらい高級時計を扱う店舗が多くありました。
中野は、秋葉原とは異なり特定の店舗を中心として成立してきたオタク街です。「まんだらけ」というマンガやアニメ関連グッズを扱う日本最大級のコレクターズショップをご存じでしょうか。1980年に「中野ブロードウェイ」に古書店をオープンしてたのをきっかけに地域に根付き、現在は「ほぼまんだらけやん」と言われるほどに店を増やしてきました。仮面ライダー専門店があったり、同人誌専門店があったり、細分化された関心に応じてショップが展開されています。
そんなまんだらけの発展とともに、サブカルチャー発信の地として中野はオタク街として台頭してきたのです。秋葉原の「とりあえずアキバに行っておけば正解」といったようなオープンな雰囲気に対して、中野は「これが好きだから行く」といったマニアのための聖地という印象でした。人があふれているわけではなく、比較的落ち着いた雰囲気であることも特徴でしょう。
最後に足を向けたのは、池袋です。ここは、秋葉原とは異なり主に女性をターゲットとしたオタク街です。「乙女ロード」に代表されるエリアでは、カバンに推しの缶バッチを付けられるだけ付けた「痛バ」が広く知られるようになった場所でもあります。
他のエリアに比べ滞在時間が少なかったこともあり、明確に違いを見つけることは難しかったのですが、コンカフェ(コンセプトカフェ)やメイドカフェといった女性らしさを活かしたコンテンツが多くあった印象があります。そこでは主に男性客をターゲットとした客引きが行われており、飲み屋街としての性格も相まって独特の雰囲気を持っていました。
大阪・日本橋は、3つのエリアの特徴を少しずつ持ち合わせた感じがあります。一方、東京のオタク街はそれぞれが各々の強みを持ち、住み分けているようです。オタク文化は都市論との結びつきが強いように思います。これまでの学びで得た知識を、自分の目で見て、体験することでより深い理解につながったと思います。
聞いたことはあるし、何となくは知っているオタク街ですが、実際に足を踏み入れるのは何だか勇気がいると感じている方もいると思います。筆者もこのゼミに入らなければ赴くことはなかったでしょう。ですが、ふらっと行ってみて違い見つけると意外と楽しいものですよ。皆さんの心に余裕がある時、筆者のお勧めを体験してみてください。きっと街を見る視点が変わって新鮮ですよ。
参考記事
読売新聞オンライン 9月3日更新
県庁に渇水対策本部設置は21年ぶり、貯水率3%のダムも…県民に「ため洗い」など節水の協力依頼
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20260903-GYO1T00027/
読売新聞オンライン 8月27日更新
「中野ブロードウェイ」の時計店で高級時計盗んだ疑い、チリ人の男2人を大阪市で逮捕…警視庁
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260827-GYT1T00456/
参考ページ
「中野ブロードウェイ」
「まんだらけ」
「乙女ロード」
https://www.city.toshima.lg.jp/424/miryoku/shiru/shotengai/otome-road.html