ボンダイビーチ銃撃事件 そのときシドニーでは

12月14日の午後、オーストラリア・シドニーの観光名所ボンダイビーチで銃撃事件が発生しました。筆者は当時シドニーに滞在していたため、人ごととは思えませんでした。

ボンダイビーチは市の中心部からバスで行くことができます。現在シドニーでは日によって20度後半の暑さを記録しているので、海岸のリゾート地は特に人気スポットです。当日は1千人以上が訪れていました。

事件発生時、現場ではユダヤ教の祭り「ハヌカ」が行われており、凶行に及んだ親子は祭りを祝うために集まった人たちに向けて銃を乱射したと確認されています。16日時点では15人が死亡し、42人が負傷したと報じられていました。オーストラリアでは一昨年以降、ユダヤ系住民を標的にした放火が相次いでいることから、今回の事件を機に政府の対応の遅れを指摘する声が強まっています。

14日は日曜日で、筆者が通っていた語学学校は休みでした。せっかくの休日ということで外出を予定しており、行き先の候補にボンダイビーチもありました。結局、他のビーチへ行ったのですが、帰宅後に事件のことを知り、もし自分が行っていたら今頃どうなっていたのだろうと考えるとゾッとしました。学校の友人の中には現場に居合わせた人もいて、遠くから銃撃の音が聞こえ騒然とした様子だったと言っていました。彼女たちは幸い何事もなかったそうで、後日現場へ行き花を手向けたそうです。発生から1週間後には現場で追悼集会が開かれ、1万人以上が参加しました。

この事件は連日報じられてきました。語学学校のクラスでも、友人との会話の中でもこの話題は尽きません。シドニーに渡ってから約1週間が経っていた筆者は、何事もなく生活できていたため安心し切っていました。その矢先に、今回の事件が発生しました。いつどこで何が起きるかわからないのだと、海外で生活することへの心構えを再度認識する出来事でした。

通学などで街を歩くこと自体が怖くなっていましたが、ホストマザーや語学学校の先生が「今回のような悲惨な事件は、シドニーでは滅多に起こらないから心配しなくても大丈夫だ」と言っていました。このニュースは非常にショッキングな出来事だったため、筆者が通う語学学校では、現場に居合わせた学生やニュースをみて心を痛めた学生に対するカウンセリング体制が整えられています。

これまで留学や旅行などで何度か海外へ行ったことはありますが、自分が滞在している間に大事件が起きたのは初めてのことでした。海外という慣れない環境で自分の身の安全に心を配ること、日々のニュースを通じて何が起こったのかを確認することで精一杯でしたが、事件当時シドニーに居合わせた一人として、この事件をこれからも心に留めていきたいと考えています。

参考資料

朝日新聞デジタル 「シドニーのビーチで銃撃 少なくとも11人死亡 警察『テロと断定』」https://digital.asahi.com/articles/ASTDG36PLTDGPEFT00BM.html?iref=pc_ss_date_article

朝日新聞デジタル 「シドニーのビーチ銃撃、10歳の少女を含む15人が死亡 42人負傷」https://digital.asahi.com/articles/ASTDH004YTDHUHBI014M.html?iref=pc_ss_date_article

読売新聞オンライン 「シドニー銃撃 1万人黙とう…発生1週間」https://www.yomiuri.co.jp/world/20251223-GYT1T00087/

読売新聞オンライン 「シドニー銃撃 容疑者親子が射撃訓練 10月国内で 当局『入念計画』見方」https://www.yomiuri.co.jp/world/20251224-GYT1T00089/

読売新聞オンライン 「豪シドニー銃撃1週間、現場のビーチで追悼集会…政府の対応の遅れ指摘の声・会場入りの豪首相にブーイング」https://www.yomiuri.co.jp/world/20251222-GYT1T00188/