仙台の冬を灯す「光のページェント」 今年で開催40周年

12月の夜、仙台中心部の定禅寺通りを歩くと、目の前には幻想的な光の世界が広がります。春から夏にかけて青々とした葉を茂らせるケヤキ並木が、冬は無数のLED電球に彩られ、通り全体が光のトンネルのような景色に包まれます。こうした美しい光景を生み出す「SENDAI光のページェント」は、大都市の冬を代表するイベントです。

今年、開催40周年という大きな節目を迎えました。約48万個のLED電球が街の中心部を照らし、訪れる人々を魅了しています。電球の中には一つだけピンク色のものがあると言われており、これを見つけると幸せになれるという伝説は、市民の間でおなじみとなっています。

多くの人で賑わう定禅寺通り(2025年12月23日、筆者撮影)

光のページェントが始まったのは1986年。「冬の仙台を明るくしたい」という市民の思いから生まれた催しは、今ではすっかり冬の風物詩として定着しています。大きな特徴は、市民ボランティアが主体となって運営されている点にあります。市民や地元企業からの募金や協賛金を主な資金源とし、まさに市民の手で守り続けられてきたイベントと言えます。

会場内に設置された募金箱(2025年12月23日、筆者撮影)

2011年に東日本大震災が発生し、光のページェントは大きな危機に直面しました。沿岸の倉庫に保管していた電球が津波の被害を受け、全て使えなくなってしまったのです。一時は開催が危ぶまれましたが、この窮地を救ったのは全国から寄せられた温かい支援でした。東京・表参道をはじめとする各地から電球の貸し出しや寄贈を受け、その年も無事に開催にこぎつけることができました。震災直後の暗く重い空気の中で灯された光は、復興へ歩み出そうとする人々に希望を与えました。

40年の歴史を持つこのイベントも常に順風満帆だったわけではありません。昨今の厳しい経済状況の影響で、点灯の期間や距離をやむなく短縮した年もありました。それでも毎年続けられているのは、市民や地元企業の支えがあり、このイベントが仙台にとってかけがえのない存在であるからにほかなりません。

仙台出身の筆者にとって、光のページェントは幼い頃からの思い出と深く結びついています。冬になると家族や友人と定禅寺通りを訪れ、光に包まれたケヤキ並木の下を歩くのが恒例行事でした。近隣の公園に設けられるスケートリンクで滑るのも楽しみの一つで、冷たい空気の中で体を動かした後に見上げる光景は、今でも印象に残っています。

今月28日まで開催される2025年の「SENDAI光のページェント」。市民の思いから始まり、震災を乗り越え、今もなお輝き続けるこの光を、ぜひ多くの人に体験してほしいと思います。

 

 

参考記事:
朝日新聞デジタル「光のページェント始まる 昨年より区間長く、スケートリンクも 仙台」,2025年12月6日

 

参考資料:
2025 SENDAI光のページェント「2025 SENDAI光のページェント」「SENDAI 光のページェントの歴史を知ろう

せんだい旅日和「2025 SENDAI光のページェント 40th Anniversary:Re

khb東日本放送「SENDAI光のページェント 困難を乗り越え光をつなぐ