21歳が特別 各国における年齢への意識

 毎日が誰かの誕生日。筆者も10月に誕生日を迎え、22歳になります。
 日本では、長らく定着していた成人年齢や飲酒可能年齢でもある20歳の誕生日には特別感があります。しかし、そのような年齢への意識は海外では異なるようです。
 2年前、アイルランドに交換留学し、21歳になる友人の誕生日を祝うためにバースデーカードを選んでいた時のこと。カードショップのバースデーコーナーには21歳を祝うものばかり。それに反して、20歳のものは見当たりません。当時は、海外では21歳の誕生日が特別という漠然としたイメージしか持っておらず、はっきりとした理由は分からぬまま21歳を祝う誕生日グッズを購入しました。

ギフトカードショップのバースデーカードコーナー。(アイルランドにて筆者撮影。)

 その後調べてみると、アイルランドやイギリス、オーストラリアなどでは元々の成人年齢は21歳で、その名残から21歳の誕生日が特別視されているようです。日本でも成人式や20歳の集いなど、成人年齢が18歳に引き下げられた今も20歳を特別視する感覚と似通ったものなのかもしれません。
 そもそも成人年齢は何を基準に決められているのか。日本で成人年齢が20歳に定められた理由には諸説あるようです。
“”20歳”の根拠については、民法制定当時、明治9年太政官布告第41号において課税や兵役の基準年齢(丁年)を満20歳としていたことに従ったと考えられていますが、当時の我が国の慣習では15歳程度を成年としていたため、当時21歳から25歳程度を成年年齢としていた欧米の経済取引秩序とのバランスを取るために20歳としたといった考え方もあるようです。”(参議院法制局 法律の中で”大人”は何歳? から引用)
 また、法務省によると旧民法制定当時の日本人の平均寿命(約43歳)や精神的な成熟度などを総合考慮したものとして20歳とされた説もあるそうです。
かつての成人年齢の決め方がユニークだった国の1つにイギリスがあります。
“マグナカルタの時代(13世紀)に、騎馬隊が一般的になったが、騎馬用の重い防具を身につけつつ乗馬して戦うことのできる年齢として21歳が成年年齢とされた”(法務省 諸外国における成年年齢等の調査結果 より一部引用)
 近年、多くの国が成人年齢を18歳に定めるようになっています。それでも成人年齢は各国における時代ごとの慣習や情勢、外国との関わり合い方も大きく関係していることが分かります。日本やイギリスで挙げた身体的、精神的成熟などの理由以外でキューバのように政治的な反乱や革命で中心的な役割を担った年齢の変化が成人年齢の決定に影響を与えたケースもあったようです。
 成人年齢が引き下がり、20歳に満たない若者にできることが増えた今、社会の年齢への対応は変わりつつあります。例を挙げれば、親の同意なしの契約などの自由が増えると同時に、刑事事件における起訴後の実名報道など思い責任も伴います。そのため、求めるもの、求められるもの双方を意識しながら行動することがひときわ重要になります。
 メリットもデメリットもある成人年齢の変化ですが、新旧に関わらず成人という節目を祝う文化は守り続けていきたいものです。
参考記事:
2022年3月31日付 読売新聞オンライン 基礎からわかる「18歳成人」
参考資料:
参議院法制局 法律の中で”大人”は何歳?
法務省 民法の成年年齢が20歳と定められた理由等
法務省 諸外国における成年年齢等の調査結果