「市民に訴えたいことがあったので、選挙期間が1日で終わったことは残念だ。」
統一地方選挙の後半戦が昨日告示されました。今回の統一選で問題となっているのは、投票率の低さと無投票。26日に行われる選挙でも全体の3割は無投票となります。県庁所在地である長崎市や津市でも投票は行われずに市長が決まることになりました。冒頭に紹介したのは、長崎市長に無投票で3選された田上富久氏のコメントです。
無投票になる原因としては、政党が「相乗り」を進めたり、小規模な町村で集落ごとに事前の候補者調整が行われたりするためです。
無投票が問題なのは、市民が候補者の主張・政策に耳を傾ける時間がほとんどないということだと考えます。筆者の隣の市でも無投票で市長が選ばれました。当選者の堅苦しいコメントと政策が新聞の地域面に小さく載っただけでした。これで有権者に伝えたということでよいのでしょうか。
40年ぶりの選挙戦となった宮崎県諸塚村では、長い間自治公民館制度を使って村民の意見が伝えられ、そのうえで村長が決められてきたそうです。しかし、長崎市や津市のような大きな都市では、そのような仕組みはありません。選挙カーが走ることも、候補者が駅前で演説することもなく、市長が決まります。田上氏が述べたように選挙期間が1日で終わってしまうのですから。
市民は選挙があることはもちろん、自分が暮らす自治体の長が実現しようとしていること、市や町村がこれからどう変わっていくのかもわからないまま、「地域の大統領」が決まっていくことになります。
たとえ無投票になったとしても、当選した本人が市民の前に立ち、自分の言葉で、これから地域のためにしていくことを伝える機会を設けることが重要であると考えます。
参考記事:19日付朝日新聞朝刊(東京13版)1面・3面(総合面)
同日付読売新聞朝刊(同版)1面・9面(特別面)