消費税が引き上げられてから1週間が経過しました。仕方ないと思っていた筆者ですが、大学の生協食堂の定食も全て値上がりしてしまい、税率10%の高さをひしひしと感じている今日この頃です。
反対意見も根強くある中、引き上げられた消費税ですが、増加分が何に使われているのか改めて調べてみました。平成27年に政府が作成した資料によると、5%から10%に上がる際の増収分14兆円のうち7.3兆円が国債の埋め合わせ、6兆円が基礎年金の安定化と社会保障の拡充のために使われると提示しています。
半分超を占める国債の補填は、私たちの今の暮らしに反映されることはありませんが、我慢するしかないでしょう。日本経済新聞朝刊の記事にはこう書かれていました。
この20年、各国で所得格差が拡大した一方、日本は低成長分野も含め手厚い財政が続き格差を抑えてきた。それを支えたのが将来世代に先送りした借金だ。政治が安定する時こそ、痛みを伴う政策や中長期の戦略に取り組むべきだ。
社会保障の用途についても調べました。従来は、基礎年金、老人医療、介護など主に高齢者向けに使われていましたが、今後は全世代の医療、介護、年金、子育て、労働のために支出されるそうです。安倍首相も、国会の所信表明演説で新しい社会保障制度に言及しました。
1億総活躍社会の感性に向かって、多様な学び、多様な働き方、そして多様なライフスタイルに応じて安心できる社会保障制度。3つの改革に、安倍内閣は果敢に挑戦いたします。(中略)子供からお年寄りまで全ての世代が安心できる社会保障制度を、大胆に構想してまいります。
ここで私は疑問を感じました。「全世代型社会保障」というと聞こえが良いけれども、実際は従来の高齢者層に加えて、一部の子育て世帯、就職氷河期世代を支援しているだけではないか。現在の大学生の暮らしや学びにしっかり還元されるのだろうか。
来年度から始まる高等教育の無償化には税収増加分の一部が投入され、国と地方合わせて7600億円が支出される予定です。そのことだけに注目すれば、学生にも還元されているように思われます。しかし、政府が支出する文教・科学技術関係予算は近年、大幅に減少しています。一般会計歳出に占める文教・科学振興費の割合は、平成20年に6.5%だったのに対し、30年は5.5%にまで低下しました。国立大学法人運営費交付金の予算額は、平成16年から30年までに11.7%も減少しています。
高等教育に進む若者が増えても、教育や研究の質が落ちては意味がありません。増税分を学生や研究生の基礎研究にも還元し、教育の機会拡大と質の向上を並行して進めていって欲しいと思いました。
参考記事:
6日付 日本経済新聞朝刊(大阪12版)3面「政府債務 膨張の一途」
5日付 朝日新聞朝刊(大阪13版)5面「安倍首相の所信表明演説(全文)」
参考ウェブページ:
消費税・軽減税率情報Cafe「消費増税の使い道をわかりやすく解説」
https://www.keigenzeiritsu.info/article/18645
経済諮問会議 「資料2−2 文教・科学技術関係予算の現状」
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg2/270828/shiryou2-2.pdf