「脱プラ問題 より効果的に減らすためには」。先月20日のあらたにすに掲載された同僚、杉山さんの記事である。「(プラごみを)より効果的に減らすためにどのような取り組みをすべきか。企業や大学、さらには国を超えて議論すべきステップにきていると思います」と論じていた。
筆者は、マクドナルドで食事をしながら、この記事を読んでいた。「地球環境のためにも努力しよう」と決意した。が、食後にハッとした。目の前にはプラスチック容器の飲み物、さらにプラストロー。そして店内のゴミ箱にはプラごみが大量に捨てられている。たった一食のためにここまでゴミを出しているとは。急に恥ずかしさが込み上げる。
帰宅すると、恥ずかしさを通り越して情けなくなった。台所脇にうず高く積まれたペットボトル。大きな袋いっぱいのプラごみ。そして片手には、さっきコンビニで買って来た飲み物と弁当、それを包むレジ袋。何が「地球環境のためにも〜」だ。結局プラスチックに依存しているではないか。「言うは易く行うは難し」とは正にこのことである。
とはいえ、決意したからには実行である。筆者はプラ製品の自粛を始めた。飲み物は缶や紙パックのものを選んだ。ペットボトルのサイダーが飲みたい時も、我慢して大して飲みたくもない缶コーヒーを買った。おにぎりや弁当はプラスチックで包装されているため買えない。インスタントラーメンは紙容器だが、商品がフィルムに包まれているためにNG。昼食は1個売りの果物や紙包装のチョコレートにした。
レジでは必ず「袋もストローも箸もいりません」と宣言した。これを言わないと店員は当たり前のように商品を袋に詰めてくる。丁寧なサービスではあるが、いちいち辞退を申告するのは面倒に思えた。だから買い物の時はマイバックを必ず持参するようになった。これを差し出せば店員がビニール袋を用意する手間も省けて一石二鳥である。マクドナルドやスターバックスでは飲み物を注文しなくなった。紙ストローや使い捨てではない容器が日本ではあまり浸透していない。ファストフード店やカフェが使えないのではさすがに辛いので、これからはマイカップを持参して飲み物を注いでもらおうと思っている。
このような生活をおよそ半月ほど続けてきた。しかし「プラごみの削減に貢献している」という実感はなかなか湧いてこない。むしろ辛い気持ちが湧いてくる。街のゴミ捨て場に溢れるゴミを見ると、やるせなくなった。9月に入ったとはいえ東京は連日のように真夏日である。炎天下で思うことは「アイスが食べたい」「サイダーを思いっきりあおりたい」。我慢するほど、イライラが募った。
そして昨日。台風15号の接近により、風雨が強くなっていた。「念のため食料品を買っておこう」。非常時を言い訳に、コンビニでたっぷりと買い物をした。およそ3週間ぶりにコンビニおにぎりを頬張る。美味い。脱プラの道は険しいことを痛感した。
読売新聞の報道によると、日本政府は来年4月にもレジ袋の有料化を義務付ける。また欧州連合は、使い捨てプラスチックの流通を2021年までに禁止する方針を打ち出した。今年大阪で開かれたG20会議では50年までにプラスチックによる新たな海洋汚染をゼロにする目標が設定された。
潮流は確実につくられた。あとは、一人一人がいかに行動を起こすかだ。次こそは自分に言い訳をせず、プラごみ削減に力を尽くしたい。…出来る限り。
参考記事:
8日付読売新聞朝刊(東京13版S)1面「海洋プラごみ 調査指針