【特集】解約するには… 一概に信用できない「保険」

6月24日に第一報が流れたかんぽ生命の不適切販売。二重契約を結ばされた顧客は2万人余り、無保険状態だったケースは16年4月~18年12月の契約分で5万件近くに達すると見られています。独立した特別調査委員会も設置され、さらに実態が明らかになることが予想されます。

被害者の多くは高齢者。「ゆるキャラ」「甘い客」と一人暮らしの高齢者らを呼ぶ局員がいるという朝日新聞の記事を読んだ時は愕然としました。契約時には、70歳以上のお客に対しては家族の同席が基本ルールです。ですが、局員から席を外すように促された事例もあるとNHKは報じています。

では、不本意ながら入らされた契約を解消するにはどうすれば良いのか。かんぽコールセンターに聞いてみました。解約については近くの郵便局でできるそうです。局員との対面での手続きになります。保険証券、契約者確認書類などの必要書類があれば済むようです。契約者が70歳以上の高齢者である場合、「家族が一緒に訪ねるのが一番良い」といいます。

また、コールセンターには高齢者専用ダイヤルもあります。そちらでは、「大きく、聞きやすい声で話す、なるべく平坦な日本語を使う」と決められているそうです。こちらは耳の不自由な方にはお勧めです。コールセンターにかける際も、「家族同席」が望ましいでしょう。

気になる方は一度、身近な人に相談してみるといいかもしれません。現在、契約の洗い直しを進めており、該当者と思われる人には通知が送られてくるそうです。ですが、送られてこない場合もあるかもしれません。少しでも疑問に感じるところがあるなら、自分で動いてみるべきです。

不適切な契約でここまで被害が拡大した背景には、契約至上主義、ノルマ至上主義があります。保険業界は定期的に問題を起こしてきました。1999年には第一生命などの「転換セールス」が厳しく批判されました。利回りの高い保険から低い保険に乗り換えさせられるというものです。また、バブル期に販売された「変額保険」では、相続税対策として銀行などから借り入れて高額の保険を買うように仕向ける商法が問題となり、明治生命などが賠償命令を受けました。そうした民間企業とは一線を画し、身近な保険の窓口として信頼を集めてきたかんぽ生命での今回の失態。保険業界は自ら改善を進めているといいますが、保険セールスの体質はいずこも同じと言わざるを得ないのではないでしょうか。

筆者は、保険と同じような金融商品を扱う会社も就活のなかで訪問しています。そこでの印象は、学生にそんなに「ノルマ」の話までするの?というものです。面接では必ず「ノルマがあるけど大丈夫」と聞かれました。「契約を取るために、雑談をしながらいかにうまく契約の話にもっていくかが大事」と言われたときは、お客のことは全く考えていないのかなと思ってしまいました。

「ノルマ」があると、お客様のためと口先では言いながら、自分の成績しか見えなくなるのだと思います。「保険」に入っていれば契約してよかったと思う瞬間もあるでしょう。ですが、販売員の言いなりというのは筋違いです。やはり金融「商品」。販売員を信頼しきってはいけないと思います。

その人のことだけを親身になって考えているかと言われればNOでしょう。多少面倒でも、契約書には全て目を通し、どのサービスが自分には必要か見極めるのは最低限必要です。

かんぽ生命の保険営業は、9月以降も自粛されることになりました。被害に遭ったと思う方は、この間にしっかりと交渉し、解決を求めるべきです。そうやって末端の体質を変えないまま営業が再開しては、また同じようなことが起きるかもしれませんから。

参考記事:

6月、7月 各紙 かんぽ生命 不適切契約関連記事

朝日新聞デジタル

7月3日 「かんぽ、局員に厳しい階級制 「50代で星1、みじめ」」https://digital.asahi.com/articles/ASM7256K4M72ULFA026.html?iref=pc_ss_date
7月8日 「かんぽ、故意に二重払いさせる 2万件超、手当ほしさか」
https://digital.asahi.com/articles/ASM7864L8M78ULFA038.html?iref=pc_ss_date
7月10日 「パートでためたお金「郵便局信じた母はだまし取られた」」
https://digital.asahi.com/articles/ASM7B46D5M7BULFA00K.html
7月10日 「かんぽ生命、過剰保険料返却へ ノルマ重視も見直し」
https://digital.asahi.com/articles/ASM7B6SBKM7BULFA00Z.html?iref=pc_ss_date
7月27日 「1人に54契約 「ゆるキャラ」高齢者に群がる郵便局員」
https://digital.asahi.com/articles/ASM7R4KFHM7RULFA021.html?iref=pc_ss_date

NHK

2018年4月24日クローズアップ現代 「郵便局が保険を“押し売り”!? ~郵便局員たちの告白~」
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4121/

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