第一生命と日本政策投資銀行は、それぞれ社内初となる生え抜きの女性役員が誕生することを発表しました。また、政府系金融機関で女性が役員に登用されるのは初めてです。
日本の上場企業で女性役員が占める比率は、先進各国と比べて非常に低いことが知られています。これに対して政府は割合を引き上げるよう呼びかけています。今回の人事で注目したいのは「生え抜き」の「女性」役員であること。果たしてこれはどういう意味を持つでしょうか。
企業の役員は生え抜きと引き抜きに分けることが出来ますが、生え抜き組は自社の企業文化を知り尽くしており、従業員の代弁者としての役割も期待できます。今回の人事のようにそれが女性であれば、働く女性の視点からの意見を伝えることができるだけでなく、シンボルとしての役割まで果たすのではないかと思います。彼女の意見が会社の経営に反映されるなら、一線の社員レベルでも変化が起こるでしょう。多様な考えを伝えやすい風通しのいい職場環境になるのではないか、ということです。現状、性別によって主張の伝えやすさに差があるとは思いませんが、社内意識には違いがあるのではないでしょうか。
女性の役員登用の議論では、無理に割合を高めると男性がポジションを奪われるだけなのではないか、という主張が見られます。でも、経営に携わる役員に限った問題としてでなく、会社全体の動きに目を向けてみることです。女性の登用が豊かな発想や新たな視点を生むことでしょう。
【参考記事】
2月24日付 朝日、日経、讀賣新聞各紙関連面