ガンコな大人は無意識の偏見から

起床してから歯を磨いて顔を洗い、食事を摂る。そして、着替えをして外に出る。このありふれた日常の行動は習慣として、ほぼ無意識的に行っています。この無意識な行動や判断は、人付き合い、労働の場面でも現れています。例を挙げるならば、職場内での女性軽視です。

働き続ける女性が増えていく一方、登用に関しては他国に比べて遅れています。その要因の1つに「アンコンシャス・バイアス」、言い換えると「無意識の偏見」があります。これは、ある人に対して自覚なしに持つ偏った見方や考え方のことを指します。女性が採用や昇進といった場面で、「管理職には向かないだろう」「育児中にキツイ仕事を両立するのは無理だ」と男性が勝手に発言することが多いようです。

このような傾向に対し、海外の人材の多様性に詳しいパク・スックチャさんはこう説いています。

無意識に対しては意識で対応するしかない。まずは何にどういう偏見があるか認識することが必要

この言葉がとても印象的です。気づけば、子供よりも大人の方が偏見を持っていると思います。知らないことが多い世界を純粋な目で、良いことも悪いことも吸収していた時代から、知らずのうちに「この外見の人はこういう人生を送っている」「この人は自分の性格には合わないな」と決めつけるようになります。「人は見た目が9割」とよく耳にしますが、まさにこの考え方を表現した言葉です。

この偏見について、自ら気づくことは少ないでしょう。友達が真似する「私」と、自分が想像する「私」が大きく違ったことはありませんか。日々の会話、他人の行動を観察すること、友人からの指摘の中から見つけ出すことができると考えます。その為には、常に柔軟な思考を意識しなければなりません。

私たちは自分の経験をベースに判断、行動しています。なので、無意識レベルまで柔軟性を保つのは難しいです。ことわざでは「十人十色」と言いますが、それを前提に一歩引いた考えをすると視野が広がるのではないでしょうか。そして、「自分は偏っているのでは」と気づく機会を逃さないことも大事です。

参考記事:

4日付 日本経済新聞朝刊 17面「「無意識の偏見」登用阻む」