2018年の新語、流行語大賞が発表されました。今回は平成最後の流行語大賞。新語や流行語はその年の世相を色濃く反映します。
年間大賞は、平昌五輪カーリング女子日本代表の選手たちによる地元、北海道なまりの「そだねー」。彼女たちが笑顔を見せつつプレーをする可愛さ、そして同競技では男女を通じて初のメダルを獲得したその強さに多くの人々が惹かれました。私の周囲でも「そだねー」と口調をまねして返事をする人が多く見受けられました。
ふと平成最初の流行語大賞はどのようなものだったのか気になり、調べてみました。
当時は流行語と新語はそれぞれ金賞が設けられていました。流行語の金賞は「オバタリアン」。当時は「そだねー」と同様に多くの人が使っていたのかもしれませんが、今となっては聞いたこともない言葉となっています。
一方で新語金賞は「セクシャル・ハラスメント」でした。
欧米ではすでに社会問題化していたものでしたが、日本では「西船橋転落事件」の判決が出たこの年に一気に注目を浴びました。この事件は、酔った男性が女性に付きまとい、女性が避けようとしたはずみで男性を転落死させてしまった事件です。判決では、多くの男性の中に「女性軽視」の考えがあることが指摘されました。
奇しくも、今年度のトップ10には「#me too」がランクインしています。アメリカの有力新聞紙がハリウッドの大物プロデューサーのセクハラ疑惑を報道したのを皮切りに、性被害を告白する女性が次々と現れました。これがSNS上で「#me too」運動として世界中に広がりました。
平成の最初で女性のセクハラ問題に目が向けられていたのにも関わらず、最後にも同様の問題に注目が集まっています。
女性の社会進出が進んでいる中で、この問題は社会に根深く残っていることが分かります。
新しい年号の時代の最後には、「セクハラ」が死語になっている社会になっていることを望みます。
参考記事:
4日付 読売新聞朝刊(大阪13版)36面(社会)「流行語大賞 そだねー」
同日付 日本経済新聞朝刊(大阪13版)38面(社会)「流行語大賞「そだねー」」
同日付 朝日新聞朝刊(大阪13版) 27面(社会)「流行語大賞「そだねー」」
「現代知識の流行語」選 ユーキャン新語、流行語大賞( https://www.jiyu.co.jp/singo/)