福島発「幸福の牛乳」

福島で「幸福の牛乳」が生まれています。

東京電力福島第1原発事故から3年後、被災した酪農家が運営する牧場が福島市に誕生しました。牧場の名前は「フェリスラテ」。名前の由来はスペイン語の「幸福」とイタリア語の「牛乳」を組み合わせたもの。560頭ほどの成牛を飼育しており、搾乳量は1日15㌧。その規模は東北地方で5本の指に入ります。

目指すのは大きな風評被害を受ける福島の酪農の再生と人材育成です。社長の田中一正さん(47)は「『復興牧場』と呼ばれるのにとどまらず、酪農の先進モデルとして展開できるよう挑戦を続けていきたい」と意気込んでいます。原発事故の前に酪農を営んでいたのは、今も避難指示が解除されていない飯舘村長泥地区。事故の影響で田中さんは飼育していた乳牛の半数を殺処分しました。フェリスラテは、田中さんのように福島県浜通り地域で大きな被害を受けた酪農家が中心となって運営しています。

いま乳牛の飼育を一括管理する新施設の立ち上げを準備しています。施設を設置するのは、田中さんがかつて酪農を営んでいた飯舘村。雇用促進と地域で生産する飼料作物の買い入れ、そして堆肥を地域に還元する「耕畜連携事業」に取り組むのです。2年後の東京五輪・パラリンピックを見据えた第6次産業化による商品開発も検討しているそうです。

東日本大震災から7年7カ月。原発事故による風評被害は未だに続いています。そんな中、福島県の農業関係者は復興への道を歩み続けています。福島には美味しいものがたくさんあります。隣の宮城県で生まれ育った筆者にとって、桃を代表に果物狩りを楽しめる「フルーツ県」の印象が今でも強いです。他にも米や野菜、銘菓、そしてこの記事でも取り上げている酪農関連商品・・・。個人的には「酪王カフェオレ」が大好きです。福島を訪れると必ず購入します。

▲「酪王カフェオレ」と福島県紙。(今年7月23日筆者撮影)

福島県には「うつくしまふくしま」というキャッチフレーズがあります。景色、人、食。その魅力はあらゆる事物の「美しさ」です。残念なことに今も県産品を避ける人もいます。買う、買わないは自由ですが、福島の農業に目を向けてみませんか。

参考記事:
20日付日本経済新聞(電子版)31(東北経済)面「福島の酪農 再生着々」