企業が発するメッセージに注目

最近、紙面によく登場するESGという言葉。環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字をとったものです。企業の長期的成長に不可欠と言われる三つの観点とされ、関心を集めています。

今日の紙面には、マクドナルドやスターバックスなどの世界的大企業が、プラスチックの使い捨てストローの廃止を発表したと紹介されています。背景には、プラスチックごみによる深刻な海洋汚染があります。プラ削減への取り組みが遅れている日本でも、飲食店を展開する「すかいらーくホールディングス」が廃止を表明しました。容器包装やレジ袋の削減など、私たちも日常生活の中で、あたりまえをもう一度見直す姿勢を大切にしたいですね。

消費財メーカーの花王でも、原料の調達から製品化、消費までのすべての段階で、環境への負荷を減らす意思を示しています。記事では、製品の素材を提供するサプライヤーに対して環境に与える影響についての情報開示を求める活動や、地域住民と一緒になって資源の再利用を進める「リサイクルエーション」の取り組みなどが紹介されています。澤田社長は、「消費者に最も近い場所でものづくりをする企業として、伝えられるメッセージはたくさんあると思います」と話します。

このほかにも、花王ではユニバーサルデザインのモノ作りに力を入れていると知りました。例えば、健常者にとっても便利なシャンプーの刻みは、目の不自由な方の「容器に工夫がほしい」という声などから考えられ、盲学校の訪問調査などを経て開発されたそうです。多様な人々の声を生かして、特別な改造や設計を施さずに、すべての人にとって使いやすく、また多様性への理解を手助けするモノづくりやサービスを提供する視点に共感しました。

最近では、障がい者の雇用数が水増しされていたというショッキングな問題が明らかになりました。日本では障がい者の雇用に対する義務感が強く、貴重な戦力ととらえる見方は薄いのではないかと感じます。けれども、ダイバーシティを推進し、個々の実体験を交えた提案や強みを取り入れることで、新たなビジネスを生み出すことにもつながるのではと考えました。

企業と人がつながりながら、環境にも人にも優しい社会づくりが進めばいいなと思います。

 

参考記事 30日付 朝日新聞朝刊 13版 7面「CO²削減 原材料から考える トップが語る6 沢田道隆 花王社長」

29面 「脱使い捨てプラスチック まずはストロー」

花王HP 「ユニバーサルデザインの取り組み(https://www.kao.com/jp/corporate/sustainability/universal-design/https://www.kao.com/jp/corporate/sustainability/universal-design/)」