本日の読売新聞朝刊には、自民党の選挙制度調査委員会が現在「要介護5」の人らに限定的に認めている郵便投票制度の対象者を「要介護3以上」に拡大するよう政府に求めると報じています。
そもそも郵便投票とは公職選挙法の中の「不在者投票」の方法の一つとして規定されており、現在は身体障害者手帳、戦傷病者手帳を持っている人、および、要介護5の人を対象としており、その数は220万人とされています。
それが拡大されることで約160万人が新たに対象となります。そもそも公的な施設である特別養護老人ホーム(特養)の入所条件は「要介護3」以上となっています。要介護3とは「要介護2の状態と比較して、日常生活動作及び手段的日常生活動作の両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要となる状態」とされています。状態に幅があるとはいえ、投票に行くのが難しい人がいることは事実です。
一方で、気になる点がありました。対象拡大の理由について記事によると
高齢化がますます進む中、投票率の低下を防ぐためには対象拡大が必要だと判断した
と述べられています。
あらたにすでは過去に「投票率」について触れた記事がいくつもあります。最近では、西宮市長選挙を扱ったもの(停滞は許されない。それにしても)があります。これらの投稿に共通するのは我々市民の政治意識が低いことです。政治に関心のある若者が少ないとは各所で指摘されていますが、こうした根本を検討しなければ投票率が改善されることはありません。今回の施策だけでは「シルバー民主主義」を加速させ、むしろ若者の政治意識は低下するのではないでしょうか。
制度の対象拡大には賛成ですが、投票率をこれからも上げ続けるためには別の方法を考えるべきです。なお検討の際にはネット投票について述べられた(ネット選挙はあり?)も参照してみてください。
参考記事:
1日付 読売新聞朝刊(東京13版)4面(政治)「郵便投票「要介護3,4も」」