問われる日本人の英語力

中高生の英語力に関連した記事が朝日、読売、日経3紙すべてに掲載されていました。文部科学省は6日、2017年度公立中高の英語教育に関する調査結果を発表しました。全国の公立学校に通う中高生のうち、政府が示す英語力の到達目標に達した生徒は、中3が40.7%、高3が39.3%。政府が掲げる目標は中3で「英検3級以上」、高3で「英検準2級以上」で、2017年度中に50%を達成することを掲げていましたが、目標値には届きませんでした。

政府目標を中高ともに達成した都道府県は福井県のみでした。福井県では全中学校にALT(外国語指導助手)を配置させているだけではなく、英検やGTECなど民間試験の受験料を補助する取り組みも進めています。英検の受験料は会場によって差はあるものの、準2級で5200円、3級で3800円です。貧困問題が広がりつつある中、「英検合格」という資格を得るためにこれだけのお金を出すのは負担が大きいと感じる家庭も少なくないのではないでしょうか。目標値を提示することは簡単ですが、それをいかにして達成していくか考える必要があると思います。具体的には、教育内容の充実、英検などの実力判定試験の無償化などです。その実現に向けて具体的な政策を打ち立てていくべきでしょう。

英語力の向上は何も中高生に限った問題ではありません。英語は増加する観光客への対応やビジネスの現場で必要な場面は増えています。英語を苦手にしている大人たちの問題でもあるのです。TOEIC Programを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会が発表した2016年の国・地域別平均スコアによると日本は41位と韓国(19位)や中国(35位)といった他のアジアの国々に比べても低い結果でした。中学から大学まで英語を学び続ける割に多くの日本人にとって今なお英語のハードルは高いのです。

大学で英語を専攻する私にとっても同様で全く自信がありません。シンガポールの街を現地で暮らす父の知り合いに案内してもらった時のことです。英語が堪能でここを拠点に仕事をしている日本人ですが、まるで現地の人のように会話をしていました。将来自分も海外で仕事ができるぐらいの英語力を身に着けたいと心から思いました。海外で逞しく活躍する日本人が一人でも増えることが望まれます。
「グローバル化」が叫ばれるなか、日本全体としての英語力が問われようとしています。

参考記事:

7日付 日本経済新聞朝刊 (14版)39面(社会)「中3「英検3級以上」4割」

同日付 朝日新聞朝刊 (13版)37面(社会)「中高生の英語力 政府目標届かず」

同日付 読売新聞朝刊 (13版)29面 (地域)「中高英語力 全国上回る」