先日、こんなことがありました。
夜8時半過ぎの大学、学生の殆どは下校済み、周囲も真っ暗です。そんな夜の大学でたまたまフリースペースのような教室の近くを通った際、中高年の男女がヨガのような体操に取り組まれていました。大学の中で教職員の方々を除いて、年齢層が高い方々を見る機会は少ないので、驚きのあまり目を丸くし、その光景を凝視してしまい、中の人と目が合ってしまい、逃げるようにその場を離れました。不思議に思い、後に調べたところ、筆者の大学は、ヨガや書道などを地域の方々にカルチャースクールのような形で提供する地域貢献事業を行っているようです。「大学にお年寄り!?」筆者の驚きはもうあたりまえの日常になりつつあるようです。本日の朝刊では他の大学の特色ある地域貢献が紹介されています。変わりゆく大学の役割を一緒に考えてみませんか。
星城大学(愛知県東海市)では、授業の一環で地域の認知症予防の企画に参加し、体力測定や認知機能調査したり、学生主体のレクリエーションなどを行っています。授業内容を実践的に学ぶと同時に、ここで出た数値を本健康維持だけでなく、地域の福祉計画に活用してもらうのが狙いです。昭和女子大学(東京都世田谷区)では、区が大学の施設を借り、高齢者向けの介護予防教室を開き、リハビリ体操や歌、折り紙などを行っています。同大学では同区と子育て支援でも連携し、地域の乳幼児と親が集う場も設けることで、地域貢献を行っています。
上記は一例であり、各大学が地域や学問領域に合わせて様々な地域貢献を行っていることでしょう。通っている身分で言うのもどうかとは思いますが、大学の社会貢献とは若者を教育し、社会に優秀な人材を送り出すことだと考えていました。どこの大学でも、どの時代でも表現や分野に違いはあれど、根本は同じでしょう。ところが、今回紹介した2校の事例は人材育成とは異なった社会貢献です。少子化の中でも、大学は増え続けており、経営に苦しむ大学が多いことは皆さんもご存じかと思います。そのような状況下では昔ながらの人材の育成と輩出という貢献プランだけでは生き残りは難しくなりつつあるのも事実です。そしてその打開策として、今回紹介した事例のような「地域に愛される大学」作りが求められているのではないでしょうか。20前半の若者だけでなく、小さい子供からお年寄りまで様々な世代が共に学ぶ大学、隣の席はおじいちゃん、サークル仲間は幼稚園児というような姿を想像しているのは筆者だけではないかも知れませんね。皆さんの考える大学の今後の姿をお聞かせください。また皆さんの通う大学の地域貢献についてもお聞かせください。ご意見お待ちしております。
参考記事:本日付日本経済新聞(東京14版)23面(大学面)「介護予防 大学が一役」より