「日本のテレビってニュース番組全然やってないよね。なんで?」先月、友人の台湾人学生に聞かれたとき、答えに窮してしまいました。聞くと、台湾では専門チャンネルがあり、常にニュースを見ることができるそうです。
一方で、あらゆるものが手のひらの上で見られる時代、テレビは情報収集のためのツールの一つに過ぎないのかもしれません。実際に、大学生になり、一人暮らしを始めた友人は、「別に生活に支障はない。」からと言って、保有していません。
そんな中で、テレビのようにリアルタイムで流れるニュースや音楽などの番組を無料で見られる動画配信サービス「Abema(アベマ)TV」が注目されています。IT大手サイバーエージェントとテレ朝が共同出資し、主導権をサイバー側にゆだねる形で、若者の視聴を想定した番組作りを行っています。
数あるチャンネルの中の一つ、ニュースチャンネルは制作をテレビ朝日が行っており、若者から支持を受けた女性タレントをキャスターとして起用した番組など、24時間生放送で最新の情報を放送しています。
フジテレビはアベマよりも1年早く、インターネット上の24 時間ニュース専門チャンネル「ホウドウキョク」を開設するなど、同様のサービスは他局でも行われています。そして、ネットでの配信は臨機応変に対応できる自由度の高さも強みです。熊本地震が発生した際には、地上波で放送している緊急特番の同時配信を行い、地上波が通常編成に戻った後も地震に関する報道を続けました。
ここ最近、共謀罪や都議会選挙など、気になっていたニュースはたくさんありますが、テレビでは決まった時間帯にしか番組はやっておらず、そのほとんどがエンタメ情報に多くの時間が割かれている印象を受けます。重要なニュースの多くは過去形になっており、その経過についてはあまり目にすることがありません。それが政治への関心をなくし、メディアへの信用を失う原因の一つになっているのではないでしょうか。
そのような意味で、いつもニュースを配信できる環境が整いつつある今こそ、テレビ局はメディアの在り方を改めて検討することができるチャンスだと思います。報道機関としての役割を自覚して、新たな取り組みを期待したいです。
参考記事:
15日付朝日新聞朝刊(東京14版)3面(社会)「トガってる、AbemaTV 無料配信、企画ヒット」