連休明けの朝、少し憂鬱そうな表情で学校や仕事に向かう方々を見て、現在、大学生の長い長い夏休みを絶賛満喫中の筆者は、学生の身分がもう長くないことに気づき、朝の涼しさを通り越し、何か寒気を感じました。そんな今日は、「働くこと」について少し考えてみたいと思います。ですが就職活動のお話はしません。喫緊の話ではなく、少し違った目線で見てみましょう。
今年7月末の時点で、いわゆる子育て世代である25~44歳の女性のうち、現在働いている人と求職中の人の合計が全体に占める割合である「労働力率」は、74.2%となり、過去最高の水準となりました。ご存知の方も多いかと思いますが、同世代は、子育てとの両立等の問題から就業者数が減り、他の世代と比較するグラフで表すとアルファベットの「M」のようになる「M字カーブ」と呼ばれる現象が発生しています。制度や支援の状況に差があり一概に比較はできませんが、欧米の先進国はM字を描いていない、もしくは日本ほど大きくM字を描きません。
多くの方が働くことで、当事者の生活が向上し、それに連れて日本社会が発展することは喜ばしいことです。ですが、筆者はこのような統計にいつも疑問を感じております。「女性の社会進出とは何か」という視点で見た場合、この指標は、家事や子育てのような家族や子供を支える仕事は社会を支えていないという考え方、極論ですが、専業主婦は仕事ではないという考え方がベースにあるのではないのかと感じています。経済活動に直接影響していないため、統計を取ることができないという点は考慮すべきでしょうし、人手不足な業界も存在することも事実ですが、このような指標を出している時点で専業主婦よりも外に出て働く方が大切だ、日本は女性の能力を活かしていないという発想があるような印象も持ちました。専業主婦は誰にでもできる仕事なのでしょうか。(男兄弟の筆者の家ではいつも母は大変そうに家事をこなしています。)それに加え、女性の就業者のうち、55.7%が非正規、いわゆるパート社員です。高卒大卒問わず、新卒で仕事を始め、その仕事を今まで続けているというわけではなく、子育てや家事の合間を縫って働いているという形ではないかと考えられます。そのため、前述した外で働くことが女性の能力が十分な活用というとはこの点でも言えないのではないでしょうか。
安倍政権は、女性の積極的「活用」として女性管理職3割などの目標を打ち出しました。しかし、インターンシップで知り合った就活女子の皆さんからお話を聞くと、「そこまでして働きたくない」、「母親業を優先したい」という方も少なからずいらっしゃいました。国家としての成長と個人の自己実現がすれ違う中、どちらを日本は目指すべきなのでしょうか。
みなさんのご意見お聞かせください。参考記事:15日付(本日は休刊日です。)読売新聞1、3面