制度開始以来、すでに12年経過したクールビズ。軽装での仕事は既に私たちの生活にすっかりなじんでいます。冷房を控えめにするために室温28度にしたり、ノーネクタイやノー上着で勤務したりすることは定着しています。
そんな中、11日に首相官邸で開かれた副大臣会議の場で、盛山法務副大臣が室温28度は「科学的知見で決めたのではない。なんとなく28度でスタートし一人歩きした」と述べました。別の出席者からも「不快な温度」との意見が出たということです。実はこの盛山副大臣は、クールビズ開始時に環境省で担当課長だったのです。
確かに夏場、室温を28度にしようとしても、湿度が高くなると不快になり設定温度を下げたくなります。しかし、本来クールビズの旗振り役である副大臣、それもスタート時の責任者のひとりが「なんとなく決まった」と発言するのは違和感があります。
室温28度という目安の根拠は建築物環境衛生管理基準にあります。この中で、人が集まる建物の室温は17~28度、湿度は40~70%が基準とされています。確かにこの基準は1970年に定められたという、お世辞にも最近とは言えない時代のものです。そのため、仮に室温に関して問題提起するのなら、しっかり科学的または論理的な根拠をもって、手順を踏んで進めるのが筋なのではないかと感じます。また、一部の企業では、「室温28度」を「設定温度28度」と勘違いし、パソコンやコピー機の発熱により室温が30度を超えてしまうこともあるそうです。まずは正確に広報することが国には求められています。
ここで私がおススメしたいのがスーパークールビズです。私の高校では夏場にこれが導入されていました。官公庁では東日本本大震災を受けてすでに導入されています。7月や8月の授業では制服ではなく半袖短パンの体操着や部活着で授業を受けることが許されていました。先生も半袖短パンなど非常にラフな格好で授業をしていました。暑苦しい制服で授業を受ける必要がないので快適だった印象があります。
民間企業では営業先にラフな格好で行くことは難しいでしょう。なかなか普及しませんが、冷房による室温調整だけでなく、まずは自身の服装の概念を変えることも温暖化対策につながるはずです。
参考記事:
13日付 読売新聞朝刊(14版)30面 「「なんとなく28度」波風 クールビズ発言 企業は困惑」