最近では雇用が持続的に回復し、失業率や求人倍率はバブル期並みに達しています。一部の業種では人手不足が深刻になっていると聞いていましたが、この報道には驚きました。
宅配最大手のヤマトホールディングスは2017年度にグループ全体で1万人規模の採用に踏み切るとのことです。内訳は、正社員と契約社員が4,200人、パートで5000人を増やします。これは例年2万人前後のアルバイトを採用する日本マクドナルドなど、大手小売り・外食産業を除くと異例の規模です。
背景には深刻なドライバー不足と荷物量の増加があります。3月の全業種の平均有効求人倍率1.45倍に対して、トラックの運転手を含む「自動車運転の職業」は2.63倍。業界全体でドライバーの確保が困難になっています。また、荷物の受け入れ数も限界に達しており、値上げなどにより17年度は前年の配達実績の4%にあたる8,000万個を削減するといいます。
以前、別の宅配業者のドライバーが客の荷物を投げたり蹴ったりしている動画が流出したことがあります。それまで当たり前だと思っていた宅配便サービスを、多くの人が考え直す機会となりました。Amazonなどネット通販を利用する機会が増えた今、忙しいドライバーのためにも、私たち消費者はサービスの対価である料金の値上げに少し寛容になる必要があるかもしれません。また、小さなことですが、指定した時間にきっちり受け取れるようにして、少しでも再配達を減らすべきでしょう。本来なら当たり前の取り組みを意識して実行しなければなりません。
一部で再配達を何度も繰り返したり、ドライバーに「はよ配達しろ」とクレームをつけたりする心無い行為が多発しているそうです。便利さが当たり前になりすぎ、本来あるべきモラルが薄らいでいる気がします。一消費者としてできることを、あまり構えずに考えてみましょう。
参考記事:
3日付 日本経済新聞朝刊(14版)1面 「ヤマト、1万人採用 人件費160億円増 残業を抑制」