「定時に会社を出られたら何をしたいですか」。連合(日本労働組合総連合会)が働く人たちを対象に、ツイッターでつぶやくよう呼びかけたところ、700件以上のツイートが寄せられました。「楽器を練習してまたバンドをやりたい」という自分の時間を楽しみたいという書き込みや、「家族そろって夕食を食べたい。当たり前のようだけど我が家はできない」などのつぶやきが寄せられました。前向きな声もあれば、残業の常態化を浮き彫りにするつぶやきも多くありました。「もしも定時で帰れたら」――。読者の皆さんは、何をしますか。
長時間労働の是正について議論していた厚生労働省の有識者検討会は23日の会合で論点整理案を示しました。労働基準法36条に基づき、労使で結ぶ時間外労働(残業)の取り決めである「36(サブロク)協定」について、「長時間労働の歯止めとして十分に機能していない」などとして、法改正の必要性を指摘しました。
労基法では、労働時間は原則として1日8時間、週40時間までと定められています。36協定を結べば、残業や休日労働が可能となります。協定の例外として、特別条項を設ければ、残業時間の制限がなくなります。論点整理案では現行制度を改め、「一定期間内の総労働時間の枠を定め、効率的に働くことを可能とする制度への転換を指向すべきだ」としました。政府と企業に対し、これまで事実上、青天井だった残業時間に上限を設けるよう求めました。
しかし、残業時間に上限を設けるにも、どこで上限を区切るかの「線引き」が重要な課題となります。政府は総労働時間の上限を決める枠組みは、1カ月を軸に調整していますが、業種によっては繁忙期や閑散期があり、集中的に働くことができると生産性が高まる内容の仕事もあるため、半年や1年など複数の枠組みにすることも検討しているようです。一方、検討会の議論では、一部の有識者から「全ての業種、職種の労働時間に一律の上限を設定するのは困難だ」という慎重意見も出ました。
つい先日、重工メーカーで働く知り合いの社員さんが、「仕事は忙しいときもあれば、そうでないときもある。繁忙期は残業せざるをえない」と話していたのを思い出しました。企業側からは、残業時間の一律の規制は経済活動の妨げにつながるといった反発もあるようです。
昨年末に、過労死についての投稿を書きました。 (年の瀬に思う、「過労死なくせるか」) 年が明け、働き方改革が進んでいることが分かります。「政府がルールを決めないと、働き方は改善されないのか」とも思います。しかし、残業に追われる人が少なくなるかもしれないと考えると、今回の整理案には賛成です。「働き方」の転換期である今、どのようなルールづくりがなされていくのか注目です。定時に帰り、趣味を楽しむ、家族と一緒に過ごす。そんな人が増えることを願います。
参考記事:
24日付 読売新聞朝刊(大阪14版)1面(総合)「残業抑制へ法改正促す 36協定問題視『総労働時間に枠を』」,4面(政治)「残業上限の線引き 課題 有識者案 対象業種や企業規模も」,18面(くらし)「残業常態化ツイートに浮き彫り 定時で帰れたら『睡眠』『趣味』」