未婚化と少子化の波、どう止める?

  突然ですが、皆さんは結婚していますか。また、「結婚」に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。「幸せそう」「お金がかかりそう」など、さまざまだと思います。筆者はいま23歳。お金はかかるかもしれませんが、いつかは結婚したいし子どもも欲しいと考えています。そんな「結婚」に関する興味深い調査結果が発表されました。

  読売新聞は朝刊で、「結婚したくない」と考える20歳代の男性は昨年度2割を超え、2008年度の2倍近くに増えたと伝えています。独立行政法人・国立青少年教育振興機構が15年末、20~30歳台の男女計4000人を対象に調査をしたものです。女性は「早く結婚したい」、「結婚したくない」の割合がいずれも増え、二極化が進んでいるようです。また、「子どもは欲しくない」という男女も倍増しており、同機構は「若者の収入の低さ」などが要因だと推測します。

  20歳代の男性は「早く結婚したい」が5.3ポイント減の12.1%、「結婚したくない」は9.7ポイント増の21.6%で、消極的な傾向が強まりました。興味深いのは、結婚していない理由として、交際相手がいる男女(30歳代を含む)の63.8%が「経済的に難しい」と回答していることです。年収300万円未満のケースでは「経済的に難しい」が70%を超えています。「子どもは欲しくない」と答えた20歳代の男女は10.8ポイント増の21.9%でした。「恋人がいても、結婚するためのお金がない。子どもはいらない」。そう考える人が増えているようです。

  恋愛のメカニズムを科学的に研究している、早稲田大の森川友義教授は「年収300万円の壁」が大きいと分析します。男性の既婚者の割合は、年収300万円以上の層に比べて3分の1。女性との交際経験が「ない」という人は35%です。年収が低いほど「交際経験なし」の比率が高くなるのは女性も同じのようです。また、働く人の非正規労働者化が、1980年代の労働者派遣法の成立から2000年代の製造業派遣の解禁までの間に進んできたことも関係していると指摘します。非正規の割合は増加傾向にあり、昨年は男性の15~24歳では労働者全体の25.3%、25~34歳でも16.6%を占めます。

  政府や地方自治体による婚活・結婚支援サービスの取り組みも進んでいます。でも16年度当初予算での「地域少子化対策重点推進交付金」は5億円でした。官民あげて「少子化対策」に乗り出すにしても、「結婚できない」理由をしっかり考えるべきではないかと思います。婚活パーティーなど男女のマッチングサービスを提供するだけでは、未婚化・少子化対策の解決にはならないでしょう。例えば、結婚を考える若年層に対して、年収に応じて金銭的支援や子育て支援を行うなど、まだまだ方法はあると思います。以前から話題になっている「同一労働同一賃金」制度も重要です。

  結婚するかしないか、子どもを産むか産まないかは人ぞれぞれですが、「結婚したくない」と「結婚できない」では意味が違います。「未婚化」「少子化」を防ぐ解決策には改善の余地があるのではないでしょうか。

参考記事:

2日付 読売新聞朝刊(大阪14版)34面(社会)「『結婚したくない』男子急増 20代21% 女性は12%」

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