皆さんは毎日何時間スマホを使用していますか?
筆者のスクリーンタイムを見てみると、動画視聴時間は平日が約2時間、休日は約5時間と決して短くはありません。とはいえ、電車やバスに乗っていても、信号待ちのほんの数秒間でも大半の人がスマホの画面を見つめている光景は、どこか異質で恐怖すら覚えます。
NTTドコモモバイル社会研究所が2024年2月に行ったスマホでの動画視聴についての調査では、10代男女、20代女性の約3割、20代男性、30代女性の約2割が1日6時間以上スマホで動画を視聴していることが分かりました。一方、40代以上の男性、50代以上の女性では1割未満であったことから、若い世代ほど1日の視聴時間が長いという結果になりました。
今回はそんな長時間利用に潜む「スマホ認知症」のリスクについて紹介したいと思います。
「スマホ認知症」とは、長時間使用により脳が疲弊することで物忘れや集中力、記憶力の低下などを招き、重症化すると日常生活に支障をきたすなど、認知症と似た症状が生じる問題を指します。
認知症サポートSOMPO笑顔倶楽部のサイトでは、スマホ認知症になる原因は、スマホから流れ込む情報の過多により脳が疲れ果て、情報を処理する能力が低下することだとしています。「浅く考える機能」「深く考える機能」「ぼんやりと考える機能」の3つを使い分けて情報を処理している人間にとって、スマホからの情報は「浅く考える機能」だけを頻繁に使うようになると、脳疲労を感じやすくなります。さらに「深く考える機能」や「ぼんやりと考える機能」を活かす機会が減り、集中力や思考力などの認知機能低下に繋がると考えられるそうです。
(「介護のほんね」サイトよりオリジナルに作成)
上記のチェックリストの中で、3つ以上当てはまるようであればリスクが高いと言われています。実際に筆者が取り組んでみたところ、4つ当てはまってしまいました。これを機にスマホとの付き合い方を考え直す必要がありそうです。
2021年7月14日付の読売新聞では発症者の事例を紹介し、スマホ認知症への警鐘を鳴らしています。また、2024年12月4日付の朝日新聞では、スマホ依存に陥っている現代の人間の集中力は金魚以下である、とも言及されていました。新聞記事ではありませんが、週刊朝日は2018年3月31日号で初めてスマホ認知症を登場させています。ただ、当時の記事では、定年後の高齢者に潜むリスクとして紹介されており、スマホ利用と成績の関係性や、依存症とうつ状態についての言及こそあったものの、若者とスマホ認知症についての直接的な言及は見当たりません。冒頭で紹介した調査結果からも分かるように、若者のスマホ利用時間の増加は深刻になっています。スマホ認知症は若者にとっても身近に潜むリスクであると言えるでしょう。
スマホ利用時間を見直し、適度な休憩を挟むなど、少しの意識で予防することが出来るといいます。まずは自身の利用時間を確認し、スマホから少しだけでも離れる時間を確保することが大切です。
参考記事
朝日新聞 2024年12月4日付 「スマホが壊す私たちの脳 集中力は『金魚以下』、認知症のリスクも?」
読売新聞オンライン 2021年7月14日付 「検索、また検索でもの忘れが悪化…スマホ認知症で学力にも影響」
2018年3月30日付 週刊朝日-132ページ 「定年後の一人暮らしに注意…『スマホ認知症』が高齢者を襲う」
参考資料
認知症サポートSOMPO笑顔倶楽部サイト
介護のほんねサイト
モバイル社会研究所サイト