京都の街を歩いていたら、今年3月に開店した「麵屋 一麺専心」というラーメン店の面白い看板に目が留まりました。
大学生・専門学生限定で、45分の皿洗いを手伝ったらラーメンを無料で提供するというのです。一人暮らしで毎日の夕食に頭を悩ませている筆者にとっては願ってもないこと。そこで、早速店内に。
まずは、超濃厚豚骨ラーメン、鶏白湯ラーメン、醬油ラーメンのなかから1つ選びます。てっきり先に皿洗いをしてからだと思っていたのですが、先に食べさせてもらえました。男性オーナー(45)いわく、「お腹を空かせて来てくれる学生がいるかもしれないから、まずは満腹になっていただきたい」
「かつて『餃子の王将 出町店』で、同様のサービスがあり、感動に震えたオーナーが、『いつか自分も』と温めていた思いを実現させた」(京都新聞、2024)
鶏白湯ラーメンの他に、ライスや温野菜も無料で食べることができます。筆者が食べた鶏白湯ラーメンは柔らかいチャーシューやメンマ、歯ごたえのよい麺が濃い目のスープに絡んで満足感が高いです。温野菜は、自家製ラー油やヒマラヤ岩塩などを使った自家製ソルトで味を変えて楽しみます。自炊をすると野菜の摂取が少ないので、非常にありがたいです。オーナーの思惑通り、満腹になりました。
大学生・専門学生であれば、いつどんな服装で来ても大丈夫だそうです。筆者はオープンの11時きっかりに来店しましたが、ある程度の洗い物がありました。ただ、正直なところ想定していたよりも少なく、これでラーメン代と釣り合っているのかという思いはありました。他に洗い物がないか聞くと「その言葉を言ってくれるだけで素晴らしい」と言ってくれ、オーナーの人間性が垣間見えました。皿洗いの時には、エプロンも貸してくれます。ただ、怪我だけが心配ということなので過度な軽装は控えた方がよさそうです。
オープンして5ヶ月が経ちましたが、このサービスを利用したのは私が初めてだったそうです。オーナーと筆者のツーショット写真を店内に飾ると言っていた程の喜びがあったそうです。筆者自身も嬉しくなりました。
店名である「麵屋 一麺専心」の由来を聞いてみました。
「まずは、麺を食べて一目惚れしてほしいという思いがあります。あとは、一つ一つの麺に対して熱意を込めて作るという思いも込められています」
「『一意専心』…わき目もふらず心を一つのことだけに注ぐこと」のように、ただひたすらに一つ一つのラーメンに向き合っていると感じました。豚骨スープに17時間かけたり今年の7月には感謝祭を開いたりするなど、ラーメンとお客さんに対するオーナーの思いはまさに一意専心です。筆者は、これからも足繁く通って新しい形の常連客になろうと思います。
参考記事
2024年7月13日付京都新聞「京都市上京区に 生まれた『人情味あふれる』ラーメン店 「皿洗い一杯無料」、きっかけは『餃子の王将出町店』」.
デジタル大辞泉「一意専心」2024年8月9日最終閲覧.