避難訓練や家族との会話の中で、災害が起きた時の避難場所を確認することは誰しもあるでしょう。不安や孤独を感じるなか、避難所に人々が集まるのは4月3日台湾地震でも同じでした。
台湾東部・花蓮市に設置された避難所は対応が早く、充実した設備を備えていたことから注目されました。台湾名物のルーロウファン弁当やお菓子、お茶といった食料から、計70個の防災用テント、簡易ベッド、クリーニングやアロママッサージなどのサービスまでもが準備されていました。これらの食料やサービスを提供するために、災害の発生から1時間後には市やNGOのLINEグループチャットが動き出し、情報交換を進めて3時間後には被災者を受け入れていたと伝えられます。
こうした対応の早さは不安や孤独を抱える人々の安心に繋がるでしょう。
この春休み、一人ギリシャに旅行した際、乗り継ぎ先のカタール・ドーハまでの航空便で機体トラブルが発生し、目的地がカザフスタンに変更された時のことを思い出します。カザフスタンの着陸前からCAの落ち着いた対応とアナウンスによって乗客がパニックを起こすことはありませんでした。
とはいえ、その日は風が強かった影響からか機体が揺れることが多く、機内であまり眠れませんでした。また、離陸前からご飯をほとんど食べていなかったことから低血糖になっているのではないかと感じることもありました。一人だったためより不安を覚えました。そんな中、新たな航空券を手配してくれたり、ジュースやパンを配給してくれたり、空港職員の迅速な対応で約6時間の緊急着陸の時間を何とか無事に過ごすことができました。
また、空港内で話しかけてくれ、心が温まった気がしました。避難所もそうですが、困っている人にとっては物資やサービスを受けるだけでなく、人の交流が生まれる場でもあるのだなと実感する経験でした。
台湾の地震の際、迅速な対応で避難所の整備が整ったのは2018年の災害時の反省を活かしたからと伝えられています。当時は避難所に仕切りもなく散らかった状態で、被災者からの不満の声も多かったのですが、今回は市民や民間団体の協力によって、手際よく運営されました。
カザフスタンの空港での出来事も踏まえると、災害時や緊急事態が発生したときほど不安や孤独感を軽減することが重要だと痛感します。人々が安心する場をつくることは災害が多いと言われている日本だからこそ重要になるはずです。
参考記事
7日付 朝日新聞 (大阪13版)29面(社会)「台湾の避難所 迅速・充実」