近年、新型コロナウイルスの影響を受けて、インターネットで買い物をする人が多くなりました。今月5日に総務省統計局から発表された、二人以上の世帯におけるネットショッピングの家計消費状況調査によると、今年2月における支出額と利用世帯の割合は1年前と比べて上昇傾向にあり、需要の高まりが裏付けられています。こうしたインターネットショッピングの利用増や物流2024年問題に対応すべく、各地で物流拠点の増設が進んでいます。
ここでは、筆者が先日訪れた物流拠点の一つを紹介します。相模原市にあり日本最大級の規模といわれる「ALFALINK 相模原」です。AmazonやSAGAWAなど様々なテナント企業が入居しています。しかし、この施設はただの物流拠点ではありません。その特徴の一つに挙げられるのが地域住民も利用できる点です。例えば、施設中央にあるリングと呼ばれる共同施設棟には、レストランやカフェが併設され、だれでも立ち寄れます。
バスケットボールやフットサル、テニスなどに利用できるマルチコートもあり、こちらは1時間3000円で予約すれば利用できます。
加えて、相模原市主催の「さがみ風っ子展」や夏期イベントなどの会場となり、災害時には最新の防災設備がある避難施設として地域住民も受け入れます。実際に訪れた際にも、拠点で働く人だけでなく、周辺の学生たちの姿も多くみられ、地域コミュニティにとっても重要な役割を担っていることが確認できました。
物流拠点と聞くと、どこか近寄りがたい印象をもっていました。2024年問題について知り、インターネットショッピングが当たり前になるなかで、物流についても幅広い視野を持って考える必要があると感じていました。こうした中で、地域との関係性を大切にしている拠点があることを知り、訪問を思い立ちました。いま地域コミュニティは、人口減少が起きている地方で機能不全が進んでいるだけでなく、都市部や中間地域でも住民の関係性が一段と希薄化しつつあると聞きます。モノを運ぶ物流拠点が、ヒトが集まる空間となり、思いを運ぶ場所として、新たなコミュニティを紡ぎ出す。そんな施設が増えていってほしいものです。
【参考記事】
日経電子版「中小の運送事業者、全国25拠点シェア 24年問題対応(24年4月3日)」
日経電子版「『佐川AI』で運び方改革 SGHD、荷積みにロボット導入(24年4月10日)」
3月7日付 読売新聞朝刊(13版)8面「『置き配』『駅配』負担減 同時に配送・回収 ロッカー活用」
【参考資料】
総務省統計局「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について(二人以上の世帯)」(令和6年4月5日)