京都より「京都」っぽい?今年注目の観光地・山口市の魅力に迫る

ニューヨーク・タイムズが今年1月に発表した「2024年に行くべき52か所」に山口市が選出されました。先日、筆者は山口市を散策し、地域の魅力と課題点を実感しました。

読売新聞の記事によると、同市を推薦したアメリカ出身のライター、クレイグ・モドさんは、国宝の瑠璃光寺五重塔に代表される伝統建築や個人経営の喫茶店や飲食店を挙げ、「山口は日本の素顔を見るのに向いている」と魅力を解説しています。

国内でも観光地としてのイメージが薄い山口市ですが、室町時代に一帯を治めた守護大名の大内氏によって築かれた歴史的景観が整備されています。「西の京都」と呼ばれるほど美しい佇まいは大内文化と呼ばれています。その代表格である瑠璃光寺五重塔は山口観光では外せません。日本三名塔に数えられる名建築として知られています。

景観の他にも、山口外郎や瓦そばなど個性的なグルメ、市内中心部には湯田温泉などの宿泊施設もそろっています。蛍が生息する一の坂川などの自然も残っており、日々の疲れが癒される要素で溢れています。

筆者撮影:名物の瓦そば(2023年3月25日・山口市)

混雑が少ないのも魅力です。筆者が湯田温泉に訪れた際、平日だったこともあってか、人混みに出くわすことがありませんでした。先ほどの記事でモドさんは、「町歩きをしながら観光の魅力全てと向き合うのは、現代の京都ではできなくなった」として、観光客が集中していないことも推薦理由になったと話していました。

筆者撮影:湯田温泉周辺には足湯が点在 街歩きの疲れが癒せる(2023年3月25日・山口市)

人気観光地である京都の嵐山や清水坂周辺では、人の波に押し流され、好きなペースで地域を味わいづらい状況が続いています。それとは対照的に、その地の文化を満喫しながら、温泉やグルメを味わえる山口市は、京都よりも古都の魅力を味わう環境が整っているように感じました。

ただ、公共交通によるアクセスに課題が残っています。現在、山口市が観光客向けの乗り合いタクシーの運行を実験的に開始し、既存のコミュニティバスと組み合わせた交通網の整備を急いでいます。一方で、市内中心部の湯田温泉駅、山口駅に乗り入れる山口線は1時間に片道2本程度のローカル線。遠方からのアクセスに制約があることがわかります。観光需要で増便が進めば、住民の足としても鉄道の利便性が上がることが期待できます。

筆者撮影:山口線の始点、新山口駅・本数が多いとはいえず、車両編成も少ない。(2023年3月25日・山口市)

今後、海外から注目されることは間違いありません。昨年、同じ特集に取り上げられた盛岡市は前年に比べて観光客が20%以上増えたそうです。観光需要の地方分散は、オーバーツーリズム対策に苦慮する人気観光地にも利点があります。海外から地方に熱い視線が注がれる今、我々も各地の魅力を再発見し、新たな旅先を探す時期が来ているのかもしれません。

参照記事

ニューヨークタイムズ、山口市を「2024年行くべき旅行先」に選定 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

2024年1月10日付

NYタイムズ「旅先52選」の山口市、大内文化巡る乗り合いタクシー…観光客増を見込み急きょ導入:地域ニュース : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

2024年3月17日付

「山口市は日本の素顔を見るのに向いている」…NYタイムズ「旅先52選」推薦のライター:地域ニュース : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

2024年3月27日付

山口市、ニューヨーク・タイムズが「行くべき」  普段着の魅力 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

2024年3月31日付

心すっきり、山口・一の坂川でひな流し [山口県]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

2024年4月1日付

 

【山口市に世界が注目?】増加する外国人旅行者 “地方分散”どう目指す – サタデーウオッチ9 – NHK

ニューヨーク・タイムズ紙の2024年「行くべき場所52選」に山口が選出 – The Japan Times

NYタイムズ「2024年行くべき52カ所」選出 山口市の魅力とは | TBS NEWS DIG

ニューヨークタイムズ2024年に行くべき52カ所|西の京 山口市|【公式】山口県観光/旅行サイト おいでませ山口へ (yamaguchi-tourism.jp)

山口市観光情報サイト 「西の京 やまぐち」 ニューヨーク・タイムズ紙「2024年に行くべき52カ所」に「山口市」が選ばれました!! (yamaguchi-city.jp)